求婚...年の差２ (ページ39)

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３８話目ページ39

普段なら絶対に着る事の無い色味のスーツに腕を通す。

色はダークチェリーっぽい色で...１歩間違えりゃ怪しいご職業の方に見えそうな感じで。

「あ、よくお似合いですね！身長もおありなので...とても素敵です！」

「...ども。」

(こんなだせぇスーツ姿を褒められても嬉しかねぇわ。)

首だけを動かして軽く頭を下げ、心の中で大きなため息をついた。

「爆心地さん、こちらのソファにどうぞ。対談の最中の写真、何枚か撮らせていただきます。」

俺は黙ったままソファに腰を下ろし、足を開いて両膝に肘を乗せる。

「...頭は...このままで良いんすか？」

「セットせずに濡れた髪が自然に乾いた！って感じのが爆心地さんらしいかなと。セットした方が良いですか？」

ニコニコ笑顔で境原さんは聞いてきて、「好きにして下さい。」とやけくそ気味で答えた。

「それでは色々と質問させていただきます。答えなく無い場合は無理にお答えいただく必要はありません。どうぞよろしくお願いします。」

「...はい。」

質問されてくる内容はありきたりなものばかりで...俺はてっきりAの事を聞かれると思っていたから拍子抜けしてしまう。

「あの...俺の女の事...聞かないんっすね？」

「あ、聞かないですよ。雄英怖いですからね〜。」

「は？雄英...？」

「ご存知...無いんですか？」

境原さんは目を丸くして...いかにも驚いたというような表情をし、アハハと突然笑い出した。

全く意味がわからない俺はイラついて、癖で思わず舌打ちをしそうになり、慌てて唇を噛み締める。

「いやぁ、今朝なんですけどね。デク始め、ウラビティにショート、チャージズマにクリエティ...まぁ爆心地さんの同級生達がFAXでマスコミ各社に圧力...かけてきたんですよ。」

「...圧力だ？」

「早い話が爆心地さんの恋路をこれ以上邪魔すると、今後マスコミ関係の取材は断るというね。ついでに雄英高校の教師であるプロヒーロー達からも...。」

「あい...つら...余計な事しやがって！」

今回ばかりは助かったという思いと、助けられてしまった悔しさが入り混じり、頭をわしゃわしゃと掻きむしった。

「皆さん、仲良いですね。デクと爆心地さんは幼馴染だとか？」

「...は？」

デクは知らねぇが...公表していない事実を突然質問され、俺は驚いた声を上げるしか出来ない。

「え？そうなんですよね？お２人は小さな頃から仲良かったんですか？」

(俺と...デク...。)

俺は窓を眺め、呟く様な声で話し出した。