求婚...年の差２ (ページ36)

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３６話目ページ36

家に戻って熱いシャワーを浴び、着替えを済ませて事務所にトンボ帰りをする。

「そんなに急がなくても...時間まだあるぜ？」

「作っときてぇ書類があんだよ！」

驚いた顔をする切島の額を小突いて、パソコンに向かった。

昨日の疲れが取れてないのか...しきりに欠伸が出だす。

「...くそだりぃ。コーヒーでも...飲むか。」

「俺にも入れてくれよ！薄目でな！」

「あ？てめぇで入れろや！クソ髪！」

ゆっくりと机から立ち上がり、インスタントコーヒーを作り始める。

クソ髪の分はわざと«濃いめ»に作ってやった。

「おら！」

「お！サンキュー！」

ドンとカップを机に置き、俺は自分の机に戻る。

「苦ぇ！爆豪...薄目っつったろ！？」

「うっせ、作ってもらえただけ有難く思えや！」

切島は眉間にシワを寄せて、苦そうな顔をしながらコーヒーを飲んでいた。

「...そろそろ行くか...爆豪。」

「...もうそんな時間か？」

集中して書類を作っていたからか、いつの間にか時間が経っていたらしい。

「コスチューム忘れんなよ！？」

「わーっとるわ。んな間抜けじゃねぇよ！」

コスチュームが入ったカバンを肩にかけ、事務所を飛び出した。

その後、切島は事務所の鍵を閉めて、エレベーターに乗り込んでくる。

「そういやマスコミ...いねぇよな？」

「おう。何っか気持ち悪ぃ...。」

駐車場に着き、辺りを見回してもマスコミの姿は無い。

「諦めてくれたんならそれで良いじゃねぇか？」

「まだこれから揉めると思ってた...からよ！」

助手席に乗り込んで、コスチュームが入ったカバンを後部座席に投げ飛ばした。

「よーっし！行くぞ！今日も１日頑張んべ〜！」

「ごちゃごちゃうっせぇわ！ったく、騒がしんだよ、くそが。」

スパァンと切島の頭をぶっ叩き、思い切り睨みつけると肩をすくめる。

「こ...こういう時は気合いが大事なんだって。」

「わーったからさっさと車出せ。遅くなんだろがよ！」

「へいへい。」

頭を縦に振り、ゆっくりと車を走らせて行く。

道が思ってたよりも空いていて、あっという間に駐車場に着いた。

「んじゃ、爆豪も頑張ってな！」

「...おう。てめぇもな。」

切島はブンブンと手を振りながら車を走らせて行く。

俺はそれを見送ると、愛車に乗り込んでため息を一つつき、ハンドルに頭をもたれかけた。

今から嫌いな取材の仕事。更にはグラビア。

選り好みは許されねぇのがわかっていても気が重い事に変わりは...なかった。