求婚...年の差２ (ページ31)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:83,541 hit

３１話目ページ31

「あの時の体育祭は...かっちゃんが伏線回収で１位になったんだよね。」

「あ？あれは１位っつわねんだよ！半分野郎が舐めプな事しやがったせいでな！」

「半分...野郎...って、ショートさんの事ですか？」

Aは小さく首をかしげてデクに質問をする。

「そう！あのイケメンヒーローのね！」

「本当...この文化祭の写真みたいに王子様って感じだったね。ぼーっとしてるけど。」

「お茶子さん、さり気なく酷いこと言いましたよ〜？」

丸顔の肩を叩いてAは吹き出し笑いをした。

「やめろ。今思い出しても...くっそムカつくわ！」

完膚なきまでの１位を目指していた俺に、全力で戦わなかった半分野郎...。

あの後、無理矢理に拘束されて...挙げ句の果てネクタイまで締められて...。

ビールをグイッと飲み干して、缶をテーブルに思い切り置いた。

「おー！爆豪くん、ビール？」

「もう飲まねぇよ。明日の仕事に差し支えたらやべぇ。」

「なら...お茶持ってくるよ。待ってて。あ、ご飯は？」

「いらね。」

コクコクと頷いて、デクはキッチンに入って行く。

「勝己兄ちゃんの世代のヒーロー科は相当熱かったんですね！」

「そうだね。ヒーローにまだなってないのにヴィランに遭遇、戦闘したのは私達位かも？」

テーブルに肩肘を付いて、思い出す様に天井を見上げながら話した。

「入学早々にUSJで襲われて、次は林間...。もう必死で戦ったよ〜。ね、爆豪くん？」

「...思い出したくもねぇ。黙れ、丸顔。」

イラついた俺は、丸顔を睨み付けて舌打ちをする。

「オールマイトが先生だった頃...ですよね？」

キッチンから戻ってきたデクは一瞬顔を強ばらせ、「そうだよ。」と眉を下げて笑いかけた。

デクの辛そうな表情を見て...俺も心が痛んだ。

デクの力はオールマイトから受け継がれた物で、デクにとってオールマイトは師匠であり、憧れそのものだった人。

その人はもうこの世に...居ない。

「さっさと茶渡せや！んな事も出来ねぇんかよ！」

トレイの上から奪い取るように茶を取り、ドカッと足を蹴飛ばした。

「かっちゃ〜ん、痛いから〜。」

「勝己兄ちゃん！何してんのよ！？」

「こいつがとろいから悪ぃんだよ！うっぜ！」

俺はわざと悪態をついて話をそらせる。

「アハハ、ありがとう！かっちゃん！」

訳がわかっていないAだけが不思議そうな顔をして、俺ら３人は顔を見合わせてため息をついた。