２７話目 ページ27
「...俺がモテなかったみてぇじゃねぇかよ。」
「え、でも爆豪くん...雄英じゃ付き合う子おらんかったやろ？特にヒーロー科の中じゃ...。」
「...るっせ！っつうか、てめぇらはいつから付き合ってたんだよ？んな素振り無かったじゃねぇか。」
デクの肩を叩いて顔を覗き込んでやると、瞬時に顔を赤く染める。
「高校...卒業...前。」
「ったく...嘘つくの上手ぇな、クソデク。」
高校卒業以来、何度も顔を合わしてきたのに全くわからなかった。
丸顔もそんな雰囲気を微塵も見せた事は無い。
「僕が嘘つきみたいな言い方しないでよ、かっちゃん...。」
「爆豪くんは爆豪くんで、ヒーローになってからすぐに彼女出来てた「丸顔！余計な事言うなや！」」
ハッとした顔をして、丸顔はAの様子を伺い見た。
「あ、それは大丈夫です。勝己兄ちゃん本人に彼女居たって話を聞いてるので。」
「また拗ねられたら...めんどくせぇからな。」
「めんどくせぇは酷いよ、勝己兄ちゃん。」
パチンッと俺の肩を叩き、「御手洗お借りします。」とリビングを出ていくA。
「可愛いね、Aちゃん。...爆豪くんには勿体ないわ。外見だけじゃなくて、中身も良い子。」
「...んな事言われんでも、俺が一番そう思っとるわ。こんな俺の何処が良いんだかな。」
「かっちゃん...いつになく素直だね。それ程Aちゃんに惚れてるんだ？」
「...おう。」
「アハハ！爆豪くんが素直やと気持ち悪いわ！」
丸顔は両手を叩いて、楽しそうに笑い出す。
「...ぶっ殺すぞ、丸顔...。」
「またぶっ殺すって言ってる...。」
トイレから戻ってきたAは、首をかしげて俺の顔を見る。
「飯食ったんなら、そろそろ帰んぞ？」
「え、まだ帰りたくない...。」
「あ？ワガママ言うなや。時計見てから言え。」
壁にかかっている時計を指さして頭を叩いた。
「...もうすぐ12時...。」
「俺もこいつらも...明日は仕事あんだ。ちょっとは考えろ。」
「うちは別に大丈夫だよ！ね、お茶子さん？」
「何なら泊まっていってくれても良いよ〜！」
デクと丸顔はAに笑顔を向けて話しかける。
「甘やかすなや。こいつ未成年だぞ。んな時間まで外出してて良い訳ねぇだろが。」
「爆豪くん...お母さんか？過保護や...。なぁ、Aちゃん？」
丸顔はAの腕を掴んで自分の隣に座らせながら、鼻でフッと笑った。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月1日 14時
