17枚目 ページ19
『それより赤羽君は、どうしてこんな時間に?』
まだそれなりに早い時間で、ひょっとしたらクラスに誰もいないかもしれない。そんな時間なのに赤羽君は手ぶらで私の横を歩く。
「それよりって……えぇ……?」
『カバンもないの? 置いてきた?』
「きょ、教室にあるけど……」
『ふぅん。わざわざ降りてきたの?』
「……この辺の探索って言うか、まぁ時間持て余してたし……」
歯切れが悪い赤羽君は私には言いたくないのだろうか。確かに何でもない私に対して何でも話す必要はないかもしれない。
自己解決したから追及はしなかった。
ゆっくり登って行くと人影無さそうな木造校舎が見えてきた。もしかしたら先生位いるかな。烏間先生は真面目だからいるかも。陽菜乃ちゃんに教えてあげようかな。
ぼんやり考えていれば、あのさ、と手を引かれた。
『……どうしたの、赤羽君?』
「……あ、いや……えーっと、変な事聞くんだけど」
じゃあ聞かなければいいのに。直感的に思ったけど口にはしなかったのは気紛れに過ぎない。
「……俺は紫藤さんの何処で止まってる?」
『何の話?』
「だ、だから、俺は紫藤さんの事、そこそこ仲良いって思ってたんだけど……紫藤さんは違うの?」
何処か緊張した面持ちの赤羽君を漠然と眺めるばかりの私は、また変な顔してるって言われるだろうか。そんな事言う人、あんまり居ないけど。
「……紫藤、サン?」
『私と赤羽君、仲良いんだ』
「は?」
『そっか。じゃあこれからは仲良いクラスメイトだね。宜しくね』
心地良い風が私達の間を駆け巡った。
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葵(プロフ) - あやめさん» お返事遅くなってすみません! コメントありがとうございます、嬉しいです! 8割以上私の力ではないので散々自慢させて頂きますね!! これからもよろしくお願いします!! (2020年9月14日 21時) (レス) id: df60a0bf96 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!!!!これからもがんばってください!更新楽しみに待ってます!! (2020年7月10日 17時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヤ x他1人 | 作者ホームページ:https://twpf.jp/uranai_aoi
作成日時:2020年4月4日 3時