違うのに...１切島鋭児郎 ページ6
「ちょっ、ちゃうから！聞いて「任せとけって！な！」」
切島が私の肩を叩き、自信満々に爆豪に声を掛けた。
「爆豪、悪ぃ！ちょっと俺手ぇ離せねぇからAと職員室行ってくれよ！」
「あぁ！？んな位１人で行けや！」
「ほら、プリント重くて１人で持つの大変だしよ、Aだけじゃ無理だろ？あ、消しゴム買いに行かねぇと！」
すれ違いざまにパチン！と下手くそなウィンクを飛ばして購買へ。
「私が...好きなんは...。」
遠ざかる背中に向かってボソッと小声で呟いた。
事の発端は演習で足をくじいた事に始まる。
「悪ぃ、俺も腕痛めちまってて...保健室まで背負ってやれねぇ！」
「大丈夫やって！ほら、こうやってぴょこぴょこ行くから。」
不意に近付いてきた切島の顔、その距離15cm。
「肩なら貸せっから掴まれよ！」
「あ、ありが「だっせぇ！何怪我しとんだ！」」
そう言いながらヒョイっと抱えてきたのは...まさかの爆豪だった。
「へぇ、そう...か。素直に運んでもらえよ、A。」
「何がそうかやねん！何に納得してんのよ！？」
「暴れんな！人の親切心無にすんじゃねぇわ！」
どうやら...私の顔は真っ赤に染まっていたらしく、切島は私が爆豪の事が好きなんだと...勘違いしてしまったらしい。
赤くなった原因は...切島と顔が近かったからやのに。
それ以来お節介切島くんは誕生し、違うと説明しても「任せろ！」の一点張り。
私がストレートに切島の事が好きやと言えたら良いんやろけど、そんな根性も無くて...無邪気に笑う姿にガックリと肩を落とす。
「なぁ、爆豪ってさ、〇×スナックの激辛味にハマってるらしいぜ！」
「そうなんや。あんなんよく平気で食べれるな。頭おかしいんちゃう？」
「そんな言い方すんなよ。すぐに照れるな、Aは。」
「てっ、照れてる訳とちゃうわ！」
寮までの帰り道、新たな爆豪情報を満足げに話してくる切島。
私の為を思ってしてくれてるのはわかるけど...協力してやろうとする優しい所は好きやけど...。
「あ、そんでよ、その時爆豪が「な、なぁ、切島ってさ、好きな子おらんの？」」
「はっ、俺！？」
途端にパァっと顔が赤くなり、ギュッと胸が締め付けられる。
協力してくれてるって事は...私以外の子なんやろな。
「おっ、俺は...ま、俺の事はいいじゃねぇか！」
「恋のキューピッドやから？人の事よりも自分の恋も頑張らんと！」
バシンッと逞しい腕を思い切り叩き、切島を残して寮へと駆け出した。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年10月28日 0時
