たまたま１６ ページ5
「A？...A...会いたかったぁぁ！！」
聞き覚えのある声...背中に抱きついてくる馴れ馴れしさは電気。
「...公衆の面前で何しとんだ、アホ面！」
目の前から歩いてくるのは...爆豪さん。
「ちゃんと...話してやってくんねぇかな。勝手に連絡しちまって悪ぃ。これ、今日のお礼。ありがとな！」
唖然としている私にケーキの箱を押し付け、切島さんは逃げる様にしてその場を立ち去った。
「とりあえずAの家行くぞ。」
「え、爆豪さん...電気に「あの後すぐに俺も狙っとるって言ったわ。隠してんのもフェアじゃねぇし。」」
「そ、そ！だから俺と爆豪は正当なライバルなんだよなぁ！」
電気は爆豪さんと腕を組み、肘鉄を頭に食らわされる。
「でっ、でも私には...２人を、どっちかを選ぶ事なんか出来ひんねん！！」
「選んでくれなくても良いぜ！」
「...え？」
「Aに好きな奴が出来たら応援するに決まってんだろが。」
２人して私の頭を撫で、優しい顔で微笑んできて...。
「さ、Aの家にレッツゴー！！」
「あ、う、うん。」
電気に腕を引かれるままに自宅へと歩き出した。
抜け駆け禁止。自宅訪問禁止。連絡禁止。誰かがAに自然と合うまで近付かない。
私が断りを入れてからの２人のルール。
絶対に家に来ると思ってた電気が来んかったのはこういう事情があったんか。
さっき貰ったケーキを口に運び、ふーんと納得する。
「でさ、Aとまたダチになりたくてよ！」
「...ダチって？」
「好きな気持ちは変わんねぇが口説きはしねぇって事だわ。」
テーブルに肘を付き、項垂れた表情で電気の方を見て頷いた。
「と、友達って...？」
「あー、うーん、暇な時に飯食ったり、飲みに行ったり？えっと付かず近寄らず...あれ？何だっけ？」
「付かず離れず...だろが、アホ面！」
「そー、そー、それ！」
天真爛漫な笑顔で爆豪さんを指差す。
「こら、人に指差すな！行儀悪い！」
「...Aに怒られんの...久しぶり！」
「怒られて嬉しそうにするって...アホさ加減増したんか？」
私の言葉に爆豪さんは吹き出し、「マシマシだわ。」と笑った。
「俺が居ねぇとダメだってAから言わせて
やっから！」
「惚れさせたるから楽しみにしとけや。」
帰り際にそう言って微笑んで帰って行く２人。
口説かれはしないものの時々注がれる熱っぽい視線には気付かぬ振り。
微妙な三角関係はこの先も続いていきそうです...。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年10月28日 0時
