告白３ ページ33
「って、言ったところで何処に行けば良いのか...見当つかないんだよね。」
映画？遊園地？動物園？水族館？
いやいやいや、その前に門限があるから遠出は出来ないし。
女の子が喜ぶところって...何処だ？
「そんに悩まなくても緑谷くんの知ってるところなら何処でも嬉しいよ！」
「へっ？口に...出てた？つい癖で...。じゃ、行こっか。」
ん...？何かいい匂いがする...？
甘い綿あめのような匂いがAさんから漂ってくる。
細身のジーンズにダボッとしたTシャツというラフな感じの洋服が良く似合ってて...。
「似合ってる...ね、その服装。」
「え？あ、ありがとう。女の子らしい服にしようかって電話の後に凄い悩んで。背伸びした私よりも普段の私の方が良いかなって思ったの。」
「僕、洋服には無頓着だから...ダサくてごめんね。」
羽織ったシャツの下には一応ドレスシャツTシャツを着てきたんだけどね。
「ダサくなんかないよ。私もシャツ羽織ったりするもん。」
羽織る真似をする可愛い仕草に僕は「ありがとう。」と言うのが精一杯だった。
「ここは...？」
「僕が生まれ育った街だよ。あのコンビニの角を曲がれば小さい頃によく遊んだ公園があるんだ。」
「へぇ、緑谷くんが育った街...か。」
キョロキョロと辺りを楽しげに見回し、僕に微笑みかけてくる。
「この先に海もあるんだよ。」
「海？海行きたいなぁ。」
「じゃ行こうか。その前にコンビニで飲み物とか買わない？」
「うん！」
ジュースとお菓子を買い込み、久しぶりの海浜公園へ。
日中はまだまだ暑いけど、海風は爽やかで少しだけ肌寒く感じた。
「綺麗な海。緑谷くん、良い所で育ったんだね。」
「そう...かな？」
「うん。海好きなんだけど遠かったからあまり行った事なくて。」
「へぇ、そうなんだ。」
それから2人でジュースやお菓子を食べながら沢山話し、沢山笑った。
Aさんはお菓子が好きで新製品が出ると買わずにいられないとか、本当は勉強が苦手で毎晩復習と予習で必死だとか。
表情がコロコロと変わり、口下手な僕だけどAさんが聞き上手なおかげで話しているととても楽しい。
「そろそろ帰らないと門限に間に合わないね。」
「もっと話してたいのに、帰りたくないな。」
深い意味が無いのは分かってるけど“帰りたくない”という言葉に、寂しげな横顔に不覚にも胸が高鳴ってしまった。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年10月28日 0時
