短編集僕のヒーローアカデミア３ (ページ20)

今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:23,808 hit

しつけぇわ！６ページ20

警察が到着し、病院で検査してもらった結果は...おそらく誰かの個性。

所々大切な記憶が抜け落ちてしまう、簡単に言えばちょっとした記憶喪失を起こさせるものだろうと。

「治んのかよ？」

「時間で戻るのか、個性をかけた本人でないと戻せないのかは今はまだ判断が...。」

医者は申し訳なさそうな声でそう言って、Aのカルテを机に置いた。

「戻るまでの間、どなたかAさんの傍に居られる方はいらっしゃいますか？」

「田舎は遠い、両親も歳いってて現状無理...だろうな。」

「爆心地さんのご親戚...とお伺いしましたが？」

「俺は俺で仕事が忙しい...ヒーロー業の大変さは先生、あんたも知ってんだろ。」

それに...俺の記憶は消えていて、今のAから見れば他人の男...という事になる。

いくらヒーローライセンスを見せたとこで信用の欠片もねぇ。

「どうすりゃ...良んだよ、くそが。」

暫くすると警察の奴が来て、俺とAが親戚だと田舎の親に電話して説明させたと言ってきた。

「...ちょっと俺も電話してくるわ。」

病院の外に出て、俺は頭を抱え込んだ。

もし戻らなかったらどうする？Aの親にも申し訳ねぇ。俺が傍に付いていながら...。

スマホを取り出し、Aの実家の番号を表示する。

怒鳴りつけられるのを覚悟で...発信をタップした。

『もしもし、勝己くん！？』

「おばさん、俺が傍に『あんたは何にもされて無いんやね！？』」

「俺は無事だけどAがあんな事になっちまって。」

『そう、良かった。勝己くんも何かされてたらっておばちゃん心配でな。』

あぁ、この人は...昔からこんな人だった。

自分の事よりも相手の事を気遣う、自分の事は後回しで。

「Aの事守れなくて...俺...最低だわわ。」

『そんな事ないよ。勝己くんは悪くない。とりあえず...Aの事、頼めるやろか？すぐにでも飛んで行きたいんやけど、お父さんの具合があんまり良くないんよ。』

「おじさんに何か『大丈夫、大丈夫。気にせんでええ。あんたこそ体に気を付けや。Aの事...頼んどくわな。』」

「はい、責任もって面倒みさせてもらいます。」

『あの子の事やからすぐに戻るわ！』

おばさんはそう言って笑い、電話を切った。

こうなったら腹くくって面倒みるしかねぇ。

本当は心配で心配でたまらねぇおばさんと...可愛いAの為...に。

その後、警察の書類にサインをしてAを連れて自宅へと戻る事になった。