しつけぇわ！...爆豪勝己 ページ15
「いい加減素直になったら？」
「...Aになびく程女に不自由してねぇっつうの。」
「こんな美女が絶賛彼氏募集中やのになぁ。」
カラカラとグラスの氷を回し、焼酎を男前に煽る女。
２歳年下の幼馴染み...いや、遠縁のA。
ガキの頃、正月や親戚が集まる度に俺の周りをまとわりついて離れなかった。
それが最近こっちに仕事で転勤になったとか何とかで...うんざりしている。
「なぁ、今日は勝己んとこに泊まっても良い？」
「帰れや、この酔っ払い。」
「明日休みやって言うてたやん。私も休みやね「あー、そうかよ。俺には関係ねぇわ。」」
「関係ないとか冷たっ！あ、麦ロックでお代わりお願いします。」
「まだ飲むんか「今日は勝己がおるから安心やもーん。」」
フフッと微笑む無邪気な笑顔に俺はため息をついた。
長い黒髪、スレンダーな体型、長いまつ毛が印象的な綺麗な顔立ち。
「てめぇモテるくせに...んで俺なんかにこだわっとんだ？」
「モテへんで。モテるんは勝己やろ？昔からかっこ良かったけど、今の勝己はもっとかっこ良いで。」
「嘘つけや。告られまくって困るっつっとっただろが。」
俺もビールを飲み干し、生中のお代わりを頼んだ。
「好きでもない人にモテても告られても嬉しくないやん。勝己以上の人がおらんねんもん。」
赤い顔をして隣に座る俺の肩にもたれて甘えてくる。
別にAの事が嫌いなわけじゃねぇけど恋愛対象としては見れない。
ガキん時に一緒に風呂に入ったり、寝たりした仲で...Aは妹的な存在。
「離れろ、くそ重てぇ。」
「こんな立派な肩してて重いわけないやろ。うー、眠たくなってきた。」
小さな欠伸をしたと思ったら今度は居眠りを始めた。
「...寝んなや。有り得ねぇっつうの。」
揺り動かしても酔っ払っていてぐにゃぐにゃで...正体不明に近い状態。
こいつの家...こっから遠いじゃねぇかよ。
とりあえず運ばれてきた生中と焼酎を飲み、仕方なくAを抱えて居酒屋を後にする。
俺の家は歩いて10分もかからない距離。
Aの家はタクシーで30分近くかかった...はず。
俺の腕で気持ち良さそうに眠る寝顔を恨めしそうに見つめ、自宅へと向かって歩き出した。
「ここ...何処？」
「女が訳分からなくなるまで飲んでんなや。どっかに連れ込まれちまったらどうすんだ！」
「え、あ...勝己の...家？」
怒る俺を気にも止めない様子で眠そうに目を擦り微笑んだ。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年10月28日 0時
