違うのに...９ ページ14
「よ、良かったな、A！やっと気持ちが「本気で言ってんのか、クソ髪？俺がAと付き合っても...文句はねぇんだな？」」
「あ、ある訳...ねぇだろ！」
「無理して笑ってんじゃねぇ！きめぇんだよ！」
「ちょっ、ちょっと！爆豪！！やめて！！」
爆豪は切島の胸ぐらを掴み、強く振り回した。
「てめぇがずっとAの事ばっか見てんの気付いとったわ！話しかけても気付かねぇ位見とったくせに...何も思ってねぇとかバカかよ！」
「Aは...Aは爆豪の事が好きなんだよ！！離せ！！」
ブチッとボタンが弾け飛ぶ音がして、爆豪の腕を振り払う。
「てめぇの気持ちを聞いと「わっ、私は...私は...切島の事が好き！！切島の事が...好きやねん！！」」
切島と爆豪の間に割って入り、声の限りに大声で叫んだ。
「なっ、おめぇ...何「...だとよ、クソ髪。」」
「私...切島と話せんのが嬉しくて、爆豪の事を好きな振り...してただけやねん。ごめん、ほんまに変な事させて...ごめんな。」
ジワッと目に涙が浮かんできて、こぼすまいと必死で堪える。
「ったく...てめぇらの気持ち知っときながら変な茶番に付き合わされとった俺の気持ちも考えろや、くそが。」
爆豪は切島の肩を軽く殴り、私の頭に手を置いた。
「俺が諦めてやんだ、泣かせたら承知しねぇぞ。はぁ、アホらし...帰るとすっか。」
「ば、爆豪...おめぇ。」
「男なら自分からちゃんと言えや。情けねぇてめぇの何処が紅のリスペクトだ、笑わせんな。」
バーンッ！！と派手にドアを閉めて爆豪は消え、また屋上に２人きり。
暫く押し黙っていると切島が話しかけてきた。
「な、情けねぇ男で悪ぃ。普通は男の俺から言わねぇといけねぇのに。俺と...付き合ってくんねぇか？」
顔を上げると切島は真剣な表情で私を見つめていて...。
「...私でええん？嘘付きやのに...。」
「嘘だったってのは正直困惑してっけど、でもそれは俺とその...話せるからっつう口実だったってのは嬉しいぜ。」
鼻の下をこすり、照れ臭そうに手を差し出してきた。
「...よろしく...お願いします。」
「お、おう！ありがとな！」
手を繋いだまま、２人で階段のドアを見つめる。
「...悪ぃ事しちまったな。」
「...うん...そや...な。」
爆豪を傷付けてしまった...と胸が痛んだ。
私を好きやって言うてたのに背中を押してくれた...。
「やっぱ爆豪には勝てねぇぜ。」
そう呟く切島の手をほろ苦い気持ちで強く強く握り締めた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年10月28日 0時
