存在７ ページ46
「A！」
俺の声に振り返り...Aは走って胸に飛び込んできた。
「爆豪...爆豪...。」
「体...くそ冷てぇ。わーったから...部屋に入れ...や。」
「...入っても...良いん？」
「風邪ひいたら困んだろ...が。」
またポロポロと泣き出したAの肩を抱いて部屋に入れ、暖房をつけて毛布を手渡す。
「おら、ホットミルク。あちぃから気ぃ付けろ。」
「ありが...と。」
「つうか、何時から待っとった？」
「...８...時。」
「は？４時間もあそこに居たんかよ！？」
「うん、どうしても爆豪に...会いたかった...から。」
泣き腫らした赤い目で俺を見つめ、熱そうにホットミルクに口を付けた。
「で、話は...また男の事...か？」
「違う。私の...事。」
「単位でも...落としたんかよ？」
Aは首を振り、ゆっくりと話し始める。
「あのな、私...信じてもらわれへんやろけど、爆豪の事が好き...やねん。ずっと爆豪の事だけが好きやってん。」
「あ？てめぇふざけと「最後まで聞いてよ。実は好きな人なんかおらんかった。付き合ってる人も１人もおらんかった。爆豪はヒーローになって...私から遠ざかっていくんが怖くて...ずっとずっと嘘の相談してた。」」
「は？意味...わかんねぇわ。つまり...」
「爆豪に会う理由を作ってた...だけ。」
突然の訳の分からない告白に頭が付いていかず、俺は頭を抱え込んだ。
「...あのよ、俺...高校ん時に...てめぇに告ったの覚えてっか？」
「...覚えてる。嬉しくて...返事待ってって言うてしもて。教室に戻ったら爆豪がさっきのは嘘って...言うてきたやろ。」
「はぁ！？ちょっ、んだそれ！？」
必死で当時の記憶を探り...ふとある事が思い浮かぶ。
「あれ...は、峰田に見られてたみてぇで...小っ恥ずかしくて...そう言っちまっただけで...。」
「私は爆豪にからかわれたと...思ってたし、私の事なんか好きちゃうって思ってたのに。」
「俺がキスしたり...襲うっつっても何も思ってなかったんか？」
「...爆豪優しいから...そう言うて私をからかって...慰めてくれてるもんやとばっかり...。」
「んだよ...それ...。俺の事好きなら好きっつえば済む「...彼女...おったくせに。」」
「...っ！？」
適当に遊んでたのは認めるが、Aにうまく隠せてると思っていた俺は...言葉が出て来ない。
「爆豪の部屋に来て、女の人の香りした時は...悲しかった...よ。」
唇を尖らせるAを見て...深い深いため息をついた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年2月3日 5時
