存在５ ページ44
「何でちゃんと話聞いてくれんの！大事な事やから...大事な事ちゃうの！？」
「離せ...しつこいな！」
男はAの手を振り払い、走ってきたタクシーに手を挙げる。
その反動でAは尻餅をつき、「アホー！！」と大声で泣き叫んだ。
その姿に頭に血が登った俺はAに駆け寄り、男をギロっと睨み付ける。
「爆...豪...？」
「てめぇ、話ぐらい聞いたれや！こいつ泣いとんだろが！」
「何...？君には関係ないだろ？とにかく話す事は一切無い！」
「あるやん！何でそんなん言うの！？」
タクシーに乗り込もうとする男の腕を掴むと、Aは俺の背中を叩いてきた。
「離して！爆豪には関係ないから！」
「関係なく...ねぇわ！またてめぇ泣いて俺んとこ来るのが「関係ない！余計な事せんといて！首突っ込んで来んといてや！！」」
(関係...ねぇだ？散々俺の事...振り回しといて...か？)
Aの言葉が胸に強く突き刺さり...俺はその場に立ち尽くす。
手が緩んだのか男はタクシーに乗って走り去っていった。
俺の隣でAはポロポロと涙を零し、ガキみてぇに両目を擦る。
「A...大丈「何で爆豪出てきたん！？何で！？ほっといてくれたら良いのに！何でよっ！！」」
「ちょっ、A...おめぇ言い過ぎだわ。」
いつの間にか切島が傍に来ていて、Aの腕を強く引っ張った。
「だって...だっ「A、てめぇ...２度と家に来んな。」」
「今そんな話してな「来んなっつっとんだ！俺が惚れとんの知っときながらビービー泣いて男の話しやがって！てめぇ、少しでも俺の気持ち...考えた事あんのか！？もう顔も見たくねぇ！わーったか、この...クソ女！！」」
「爆豪！！」
切島が止めるのも聞かず、とにかくその場を離れたい一心で駆け出して行く。
(あんなクソ女なんざ...もう...知らねぇ。これでやっと...諦め切れそうだわ。)
その夜モヤモヤとした気持ちのまま走り続け、家に帰りつくと疲れで朝まで深く眠り込んだ。
翌朝...スマホのアラームで目が覚め、手を伸ばしてそれを消す。
(A...あれからちゃんと帰ったんか？)
起きてすぐにAのことを考えてしまった自分に苦笑いをし、ベッドから起き上がった。
シャワーを浴びてコーヒーを飲み、いつもと変わらない朝を過ごしているとインターホンが鳴り響く。
うるせぇと思いながらインターホンを見ると、そこには...Aの姿が映し出されていて、俺は...思わず息を詰まらせた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年2月3日 5時
