存在４ ページ43
「あー、くっそ眩しいわ。」
「爆豪、クマ出来てんじゃねぇか？またおめぇ...A...か？」
早朝現場に到着し、昨日寝不足だった俺は目を細める。
切島は俺がAに振り回されてるのを知っている唯一の奴で、眉間にシワを寄せて肩をひっ掴んできた。
俺は肩の手を振り払い、黙々とヒーロースーツに着替えていく。
「もう...諦めろよ、爆豪。おめぇモテんのにもったいねぇ。」
「んな簡単に諦められんなら、とっくに諦めとるわ。もうここまで来たら...半分意地になっとんな。」
「良い様に振り回されてるおめぇを見たくねぇんだよ。男らしくねぇぜ？」
(んな事言われんでも...俺が一番わかっとるわ。惨めでたまんねぇっつうの。)
「痛ぇ、八つ当たりすんなよ！」
イラついた俺はドカッと切島のケツを蹴り上げ、ククッと笑いながらロッカールームを後にした。
「な、早く終わったし、久々に「...行かねぇ。」」
「まだ何も言ってねぇだろ！良い店があんだ。付き合ってくれよ。」
仕事帰りに飲みに誘われ、断っても断っても切島はしつこく誘ってくる。
「だぁぁぁ！うぜぇ！わーったから腕離せや！！」
「お、よし！行こうぜ〜！」
「一杯だけだかんな！それ飲んだら帰んぞ！」
「おう、一杯だけな！」
嫌々連れてこられた居酒屋でビールを頼み、乾杯！とジョッキを合わせた。
機嫌良くメニューを捲り、あれこれと注文をする切島。
恐らく...一杯付き合うだけじゃ帰れそうにねぇな...と悟り、睡眠不足の俺はテーブルに倒れ込んだ。
「つうか、んなに誰が食うんだ？適量もわかんねぇんか、クソ髪さんはよ。」
「いやいや、ここの美味ぇから食えるって！爆豪、寝るなよ！？」
「...寝る。くっそ眠ぃ。」
「マジかよ、爆豪さーん！」
しばらくして運ばれて来た料理を適当に摘み、どうせ帰れねぇと諦め半分でビールの追加を頼む。
「一杯で帰るんじゃねぇの？」
「あ？鼻っから帰す気なんざ無ぇ...」
「待って！帰らんといて！話を聞いて！」
俺の言葉を遮る様に女の叫ぶ声が聞こえてきた。
「君に話す事は「私にはある！待って、お願いやから！」」
切島は箸を咥えたまま「Aの...声？」と小難しい表情をし、俺は立ち上がって辺りを見回す。
するとそこには男を引き留めようとすがり付く、紛れもないAの...姿。
「A...だわ。」
「爆豪、行くなよ？おめぇには関係ねぇだろ？」
「俺に...指図すんなや！」
切島を睨み付け、急いで後を追い掛けた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年2月3日 5時
