存在２ ページ41
「爆豪...会いたい。家に行っても...良い？」
「ちょっと待ってろや。」
「爆豪...。」
「30分後に来い。鍵開けとくからよ。」
電話をぶち切り、俺は飯を作っている女に「帰れ。」と言った。
「え、ご飯もう出来「帰れ...つっとんだ。聞こえねぇんかよ？」」
「どうして...久しぶりに会え「ごちゃごちゃうっせぇ！帰れっつったら、帰れや！」」
女の鞄を玄関の方へ投げ、俺は大声で叫ぶ。
「酷い！勝己なんか...大嫌「俺はてめぇの事なんざ...鼻っから好きでも何でもねぇわ。」」
顔を引き攣らせ、大粒の涙を零して女は帰って行く。
俺の事が好きだと擦り寄ってきて、適当に遊んでただけの...女。
我ながら最低だなとは思うが、俺の好きな女はAしかいない。
作りかけの飯をゴミ箱に捨て、簡単にキッチンを片付けているとインターホンが鳴る。
玄関を開けるとAはまた泣き腫らした目で俺に抱きついてきた。
さっき女に暴言を吐いて泣かせた俺が、恐らく男に泣かされたAを...慰める。
くそみたいな状況にイラつきを覚えながらAの髪を撫で、「どうした？」と優しく声をかけた。
「爆豪...寂しいねん。１人は...寂しい。」
「そうかよ。部屋入れや。腹減ってねぇか？」
「お酒...飲みたい。」
「...缶ビールしかねぇぞ。摘みは...これでも食ってろ。」
モブ女が持ってきたポテチの袋を開けてテーブルの上に置く。
Aはチビチビとビールを飲み、寄りかかってため息をついた。
「爆豪...雄英の時に戻りたいな。あの頃は...楽しかったな。」
「俺は戻りたくねぇわ。んな地獄みてぇなとこ。」
「うん、厳しかった。でも...私こんなに泣いてへんかった。」
「アホみてぇに笑っとったな。」
俺は手に持つビールを飲み干し、缶をグシャッと握り潰す。
「爆豪みたいな良い友達に会えて...良かった。」
Aの口から友達という単語が飛び出す度に...俺がどんな思いをしているのか...。
俺は感情を抑え、Aの体を押しのけた。
「何処行く「あ？ビール取るだけだわ。もたれんな、重てぇ。」」
「重いって...失礼やな。あ！私も欲しい！」
「おう、わーった。おらよ！」
キッチンからビールを投げ渡すと、うまく受け取れずに床に転がり...。
「んな位取れや！」
「爆豪がノーコンやから悪いんやん！」
「てめぇのドン臭さを人のせいに...うわっ！！」
プシュッと俺に向かってプルタブを開け、Aは腹を抱えて笑い転げた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年2月3日 5時
