白衣１５ ページ39
「日本に戻ってから...轟さんの事が好きなのかもしれないと思い始めて...もし会えたらと...。」
「ほ、本当か！？」
「っ、痛い...です...。」
Aさんの両肩を掴んで顔を覗き込むと、そのせいで足が動いたらしく痛そうな顔をした。
「わ、悪ぃ！痛ぇ...よな。」
「さすがに...痛みますね。」
「Aさん...俺の事が「好き...です。」」
真っ赤な顔をして、ギプスを撫でながら視線を逸らす。
「顔...ちゃんと見せてくれねぇか。」
「恥ずかしくて...見れま...せん。」
「恥ずかしいのは俺も...同じだ。口から心臓が出ちまうかもしんねぇ。」
「それなら、私の方が先に飛び出ます。」
チラっと横目で俺の顔を見上げ、照れ臭そうに俯いた。
まさかの再会に、まさかの展開...。
(ちゃんと...言わねぇと...だな。)
深く息を吸い込み、深呼吸をしてからAさんの手を握る。
「A...Aさん。結婚を前提に俺と...付き合って欲しい。絶対に何があっても幸せにする。俺を信じて付いてきてくれねぇか。」
「と、轟さん...まるでプロポーズ...。」
「プロポーズのつもりだが...何かおかしいか？」
Aさんは笑っていたが次第に涙声になり、ポロポロと涙をこぼし出した。
「こんな、こんな...看護師バカで良ければ...よろしく...お願いします。」
「バカなんかじゃねぇ。Aさんは初めて会った時からずっと、俺の憧れのヒーローだ。」
頬を伝う涙を拭い、肩を優しく抱き寄せる。
「ありがとう...ございます。」
クシャッと顔を歪ませてまた泣き出したAさんを抱き締め、「愛してる。」と囁き続けた。
「おい、こら舐めプ！クソ生意気に俺より先に結婚かよ！」
「招待状...届いたか？」
「届いたから言っとんだ！」
たまたま現場帰りに会った爆豪が、相変わらずの口調で絡んでくる。
「悪ぃ。...その...出来ちまった。」
２ヶ月前にAさんから子供が出来たと言われ、安定期に入るのを待って式を挙げる事にした。
新しい命が増える喜びに包まれ、膨らみ始めた腹をAさんは幸せそうに撫でて微笑む。
先に入籍を済ませて一緒に暮らす様になり、毎日が楽しくて仕方がない。
爆豪は呆れた顔をし、「むっつりスケベ。」とタクシーに乗り込んだ。
家に帰ると優しい笑顔に出迎えられ、飽きる事無く赤ん坊の話をする。
これから家族が増え、２人でずっと一緒に年齢を重ねていく。
ポコポコと動く腹を撫でて微笑み合い、そっと唇を合わせた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年2月3日 5時
