白衣１１ ページ35
親父に話す前にソマリア行きを姉さんに話すと、暫く呆気に取られた顔をしていたが...最終的には了承してくれた。
「焦凍の人生だもの、好きにしなさい。」
「昔、母さんに似た様な事...言われたな。」
子供の時に抱きしめられながら言われた言葉を思い出し、胸が熱くなってくる。
「母さんには話したの？後、どうやってソマリアの活動に参加するつもり？」
「母さんには後で話に行く。ソマリアへは...これに参加しようと思う。」
昨日帰宅してから、ネットで調べた資料を手渡して説明をした。
「ヒーローの救援活動ボランティア...か。」
「そこにソマリアが入ってる。戦闘には加わらず、身の危険を感じた時のみ個性の発動は可能。ボランティア活動に個性を使用したい場合は申請すれば使えるらしい。」
俺の個性なら...きっと色んな分野で役に立つはず。
「頑張れ！」と姉さんに肩を叩かれ、母さんには「心配だけど、行ってらっしゃい。」と頭を撫でられた。
Aさんから遅れる事１ヶ月。俺はソマリアの地に降り立つ。
親父とは一悶着も二悶着もあったが、１年だけならと渋々ながら折れてくれた。
空港に迎えに来たのは...偶然にもAさんで、驚きの余り２人はその場に立ち竦む。
「轟さん...どうして？」
「俺もボランティアだ。俺の個性、炎と氷結...好きに使ってくれ。」
「...っ！」
何かを話そうと口を開きかけた時、Aさんは慌ててポケットを探り携帯を取り出した。
「はい...はい！状態は？はい、すぐに向かいます！轟さん、車に乗って下さい！」
パッと看護師の真剣な眼差しに戻り、車のドアを大きく開ける。
急いで車に乗り込むと「行きます！」と急発進させ、何処かへ向かい始めた。
「轟さん、足元に着替えがあります。現場に付くのは10分後です。着替えて下さい！」
「ここで「ここでです！早く！！」」
着替えのシャツを広げると腕に赤十字のマーク。
「それを着ていないと村に入った時に怪しまれて、撃たれる事もありますので気を付けて下さいね。」
「わ、わかった。」
簡素な村に着くとAさんはデカい鞄を抱え、粗末な土で作られた家に入って行く。
恐る恐る家に入ると、そこには腹の大きい女が居て...どうも出産が始まっている様だった。
「...８cm開大。赤ちゃんの心音問題無し。」
妊婦の股ぐらに入り、何かチェックをして腹に器具を当てる。
そして家族らしき人に俺にはわからない言葉で話しかけ、難しい表情になった。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年2月3日 5時
