白衣５ ページ29
「好きな人と飯食ってたら、遅くなっちまった。」
「はっ...てめぇクソ生意気に好きな女居んのかよ？」
爆豪はキッチンに行き、缶ビールを手に戻ってきた。
「俺は飲まね「あぁ！？付き合えや！てめぇのせいでこっちは目ぇ覚めちまった！」」
俺の手に無理矢理ビールを握らせ、爆豪はプシュとプルトップを開ける。
「で、その愛しの君は...どんな女なんだよ？酒の肴に聞いたるわ。」
意地悪そうな顔で笑い、クイッとビールを飲んだ。
「何で爆豪に「話せねぇ様な...クソ女かよ？」」
「ちげぇ！Aさんはクソ女なんかじゃ...。」
「...A...さん？」
ククッと笑い出す爆豪に...俺は観念して話を始める。
「医療関係者か。白衣の天使...てめぇ良い趣味しとんな。」
「そ、そんな感情持ってねぇぞ。」
「どうだかな。俺らヒーローも一皮剥きゃ...ただの男なんだからよ。」
空になった缶をテーブルに置き、はぁとため息をついた。
「爆豪は、彼女居るのか？」
「...あ？おう、絶賛喧嘩中の...な。」
切なそうな声で言い、またキッチンへと入って行く。
「プロポーズしたは良いが、あーだこーだと条件付けてきやがって。結局ん所、俺が好きなんか、爆心地が好きなんか...わっかんねぇわ。」
「プロ...ポーズ！？」
また持って来た缶ビールに口を付けながら、爆豪はコクリと頷いた。
「ま、俺の話よりも...てめぇ付き合わねぇんかよ？」
「正直...付き合いてぇが、何て言えば良いんだ？」
「...は？良い年した大の男が...わかんねぇだ？舐めとんのか。」
「爆豪は...好きな女をどう「口説くか？...何でてめぇにんな事言わなくちゃなんねんだよ。」」
「...頼む。何かアドバイス...くれ。」
爆豪はイラついた様に額に手を当て...思い切り深いため息をつく。
「俺は...好きなら好きだって...さっさと言っちまうな。ぼーっとしてて他の男に取られんのは耐えらんねぇ。」
「他の男...。」
「ったく、イケメンヒーロー様が聞いて呆れるわ。情けねぇな、てめぇはよ。」
結局一睡もせずに飲み明かし...フラフラの状態で家に帰ると親父に突然オフだと告げられた。
俺はこれ幸いとばかりに安眠を貪り、目が覚めたのは夕方近く。
「...病院...行かねぇと。」
あまり働いていない頭でシャワーを浴び、簡単に身支度を整える。
『まぁ、せいぜい他の男に取られて泣きみんのが関の山...。』
嘲笑う爆豪の姿が脳裏に浮かび、俺は頭を振って「そんな事ねぇ。」と独りごちた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年2月3日 5時
