桜７ ページ24
「あ、信じてないんだ？鋭児郎兄ちゃん？」
「いや、そんなんじゃねぇよ。推薦入学者ってすげぇ奴が多いから...すげぇなって。」
「雄英に絶対行くよ。だって、来年の今頃は鋭児郎兄ちゃんと一緒の学校に居られるんだもん。」
キラキラと目を輝かせ、俺のシャツを握ってくる。
(うわ...すっげ可愛い...。)
ドクンッと心臓が大きく鼓動を打つ。
思わず...肩を抱き寄せてキス...したくなったが、そこは何とか理性で自分を押さえ込んだ。
「...鋭児郎兄ちゃん、黙ってどうしたの？」
「...いや、何も。...あっ！渡してぇもんがあったんだ。」
ジーンズの後ろポケットから少ししわくちゃになった袋を取り出し、Aの手にポンと置く。
「...お守り？」
「おう。学業成就のお守り。そんな成績優秀って知らねぇからよ〜。」
朝早く出掛けたのは、学業の神様が祀ってある神社。
俺のせいで成績落ちない様にとの願いを込めて。
「ありがとう！大事にするね！勉強もっと頑張れ...」
お守りを開けて固まったかと思うと...突然大声で笑い出した。
腹を抱え、苦しそうに笑い続ける...。
「ど、どうしたんだよ、何か変...はぁっ！？これ！？」
Aの手には...子授け、安産のお守り。
「そ、そういや、俺の他にもお守り買ってる人が...居たな。」
恐らく...神主さんの入れ間違い。
「わ、悪ぃ！新しいの「良い！これで良い！」」
「で、でも、そんなお守り関係ねぇ「良いの！赤ちゃんは産めないけど、鋭児郎兄ちゃんの気持ちがこもってるから良い！！」」
胸に大事そうに抱え、「嬉しい。」と笑った。
「鋭児郎兄ちゃん！！」
「おっ、似合ってんじゃねぇか、制服！」
一年が過ぎ...Aは無事に雄英に合格。
見慣れているはずの雄英の制服もAが着ると新鮮に見えた。
「わーい！今日から一緒に学校行けるね！」
「だな。っても、俺は研修ばっかになるけどな〜。」
「...寂しい。寂しいよぉ。」
俺の腕にぶら下がり、ブンブンと振り回してくる。
「おっ、おめぇ...むっ、胸...。」
「...色々とお待たせ、鋭児郎兄ちゃん？」
「色々って...？」
意味ありげな笑顔で顔を覗き込んできて...いきなり...唇を合わせてきた。
「い、色々って...そういう「意味だよ。同じ高校生だもん...ね？」」
チラホラと舞い散る桜をバックに嬉しそうに笑う。
(...これは...また別の問題で...悩みそう...だな。)
無邪気に笑うAを見つめ、俺は深いため息をついた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年2月3日 5時
