桜５ ページ22
「アイスコーヒー、ブラック。」
「あ、俺はホットカフェオレで。」
俺の奢りでファミレスに行く事になり、オーダーを済ませると爆豪が「早よ言えや。」と肩肘をつく。
「や、ちょっ、注文したの来てからで...良いだろ。」
「...例の女のガキ。」
「えっ...えぇっ！」
「てめぇが悩むのって...んな位しかねぇだろが。このマヌケ面。」
あっさりと話す前に言い当てられ...驚いた俺は相当マヌケな顔をしていたんだろうな、と思う。
飲み物が運ばれてきて、ゆっくりと飲みながら経緯を説明していった。
「めんっどくせぇな。嫌なら嫌だっつえや。」
「や、いや、初恋だとか言われたら、んな手厳しい事言えねぇだろ？」
「とか何とか言いながら、てめぇも好きなんじゃねぇんかよ？」
「...っ、や...その...「年下だと...手ぇ出せねぇから悩んどんのか？」」
爆豪はいつもの意地の悪い顔で笑っていて...。
「なっ、んな事考えてねぇよ！爆豪と一緒にすんな！」
「...俺は悩まねぇわ。好きならさっさと手に入れちまうからな。」
黙り込んでいると爆豪が500円玉をテーブルに置いて立ち上がる。
「男らしくねぇぞ、切島。てめぇの気持ちに嘘なんざつけねんだよ。紅頼雄斗が...泣くわ。」
そう言い残し、ファミレスから出て行く姿を見ながら...「ありがとな。」と呟いた。
(こうなったら...俺から付き合ってくれって言いてぇよな。女に言わせるのは...何か、男らしくねぇぜ。)
先にもう告白されてるけど、俺の気持ちをハッキリと伝えたい。
翌朝、玄関先でスニーカーの紐を結びながらどうしようかと思案していた。
「鋭児郎、休みなのに朝早いわね？」
「お、おう。ちょっと桜見に行ってくるわ！」
母ちゃんに手を振られ、気合を入れて玄関を飛び出す。
今は朝の６時。
Aに会う前に行きたい所があった俺は、目的地まで駆け出して行った。
「鋭児郎兄ちゃ〜ん！」
いつも以上に元気な声。でもそれとは裏腹に表情からは緊張が見て取れる。
(気合いだ...俺...。男見せろや！)
いつも通り、俺の隣に腰を下ろしてきたA。
「あ、あのよ！話...聞いてくんねぇか！」
「...っ、きっ...聞きます！！」
体を俺の方へ向け、膝の上に置かれた手はぎゅっと握られている。
心臓がバクバク鳴る音がうるさい位に聞こえてきて...俺は何度も何度も...深呼吸をした。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年2月3日 5時
