桜４ ページ21
「段々と受験で忙しくなってくるし、俺に会っても何のメリットも「メリット、デメリットの話なんかしてないよ！純粋に会いたいの！会えなくなんのやだ！」」
「そっ、そんな大声出さなくても聞こえてってから。落ち着けって、な？」
犬の散歩をしている人や軽く運動をしてる人が、俺らを立ち止まって見てくる。
(な、何か俺が悪ぃ事してる様に見えてねぇか？)
Aもそれに気付いた様で、「ごめんなさい。」と謝ってきた。
「いや、謝らなくても良いけど...よ。んな必死になんなくても。」
「私...初恋なんだ。初めて人を...好きになったの。」
何を言い出すのかと...俺はぎゅっと拳を握る。その手の中は手汗だらけで...。
「そ、その...鋭児郎兄ちゃんの事が...好きです！よ、良ければ...付き合って...下さい。」
「...っ、は！？」
Aの顔は真っ赤で、耳まで赤く染まっている。
俺の顔をそっと見ると、泣きそうな顔で立ち上がった。
「返事...待って...ます。明日も会って...くれますか？」
「へ、返事！？...明日...。」
何て言えば良いのか悩み、頭を抱え込む。
俺のその態度がどう映ったのかわからないが、Aはそろそろとその場から離れて行く。
「鋭児郎兄ちゃんが来るまで...待ってる！ずっと...待ってる！！」
「ちょっ、えぇっ！...マジ...か。」
俺は立ち上がったまま、しばらく放心状態で...動く事が出来なかった。
「はっ、はぁ、セーフ...だよな？」
「遅いぞ、切島くん！雄英生たるもの、しっかり余裕を持って行動する様にしなく「うぅるっせぇ！クソメガネ！間に合ってんだから良いだろが！」」
予鈴ギリギリに教室に飛び込むと、委員長・飯田にお説教されかけ...それを爆豪が一喝して黙らせる。
「飯田、今度から気付けるからよ！爆豪、ありがとな。」
「あ？礼を言われる様な事してねぇわ。さっさと用意しろや、クソ髪！」
今日は１限から３限まで、USJで訓練になっていた。
棚からコスチュームを取り出し、先に更衣室に向かった爆豪達を追い掛けて走る。
(返事...考えなくちゃなんねぇのか。)
ロッカーの鏡を見て、ふと考え込んでしまう。
「何かあったんかよ？」
「な、何もねぇよ。」
「嘘つけや。俺の知ってる切島は、んな面してねんだよ。」
「...学校終わったら...話す。」
「ぼーっとしてんな！怪我すんぞ、おら！」
「ってぇ！！」
俺のケツを思い切り蹴り上げ、爆豪は高笑いしながら更衣室を出て行った。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年2月3日 5時
