電車２ ページ14
「よし！」
学校が終わり、電車の中で思わず出た気合の入った言葉...。
周りの人に顔を見られ、僕は背を縮こまらせてLINEの送信を押した。
「学校終わりました。今は電車の中です。今日は会えなくてごめんね。日曜なら時間取れるけど、Aさんが忙しくなければ...。」
手に汗を握り、LINEの画面を見つめているとすぐに既読がつく。
そしてメッセージが届いた。
「今日は私も遅くなりました。苦手な科目を友達に教わってたらこんな時間。私も電車の中です。」
もしかして？いや、まさか...と思いつつ、「次は〇△駅。同じ電車だったりしてね？」と送ると「何両目に乗ってますか？」とAさん。
「３両目、真ん中辺りのドアにもたれて立ってるよ。」
既読になり、しばらくすると背中をポンポンと叩かれた。
「緑谷さん！すごい偶然ですね！」
「Aさん！うん、すごいね！」
満面の笑みで僕に笑いかけてくる。
「いつもこの時間の電車に乗るんですか？」
「そうだね。だいたいこの電車かな。もう少し遅い時もあるけど。」
「帰りは...会えないですね。ボソボソッ...。」
「え！？ごめん、聞き取れなかった。」
ばっと顔を上げ、手をパタパタ振りながら「何でも無いです！」と焦り出した。
(...寂しいって...聞こえた...様な？そんな訳ないか。)
それからしばらく色んな話をして、今度は僕の方が先に電車を降りる。
「LINE...送っても良いですか？」
「うん、いつでも大丈夫だから送ってきて。」
ドアが閉まり、Aさんは姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。
家に帰り、食事を済ませて勉強しているとスマホからLINEの着信音。
「こんばんは。さっきのLINEなんですけど、日曜空いてます、私。」
(あ、空いてる！？ま、マジか！？)
軽い気持ちで言ってみたものの、こんなに簡単にＯＫされると思わなくて...心臓が飛び出そうになる。
何て返事を返そうか悩んでいるとまたAさんからメッセージ。
「今からお風呂に入るので、もし良かったら返事送っててもらえると嬉しいです。」
«お風呂»...という文字に...また鼓動が早くなる。
(わぁぁぁぁ、お風呂...かぁぁぁ。)
変な想像はするまいと思いながら...思わず考えてしまう健全な男子高校生の...僕...。
はぁ〜と深いため息をつき、机に向かって顔を突っ伏した。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年2月3日 5時
