電車１緑谷出久 ページ13
「あ、おはようございます。」
今朝も会えた...電車でよく話す女の子。
背が低くて黒髪のセミロング、にっこり笑うと左側の頬にエクボが出来るのが最高に可愛い。
「お、おはよう。これ、前に話してた本なんだけど読むかな。」
オールマイトが好きらしく、彼女のカバンから千切れて落ちたオールマイトのキーホルダーを拾ってあげたのがきっかけ。
「緑谷さん、この本...すごい貴重ですよ？お借りするのは...緊張します。」
「アハハ、そんなに心配しなくても大丈夫。Aさんなら大切に読んでくれるでしょ？」
「...学校に持っていって汚したりすると困るので、今日はお借り出来ません。せっかくですけど...。」
しゅんと肩を落とし、眉を下げて僕を見上げてくる。
「そっか。」
「あの...今日の学校帰りとかは会えないですか？緑谷さん監視の元なら見たいです。」
「え、きょ、今日！？」
今日は金曜日で、本来なら明日は休みのはず。でも雄英は土曜日も授業があるし、今日だって終わるのは他の学校よりも...遅い。
「ご迷惑だった「ち、違うんだ。迷惑なんかじゃないけど、終わるのが遅くて。明日も学校があるから...。」」
「雄英...大変なんですね。」
そう言ってポケットから小さく折り畳まれた紙を出し、僕の手に握らせてきた。
「私のLINEのIDと電話番号書いてます。もし良かったら連絡下さい。」
顔を赤くして...彼女は電車から降りて行き、ホームから僕に向かって手を振ってくる。
「LINE...するね！」
「待ってます。」
僕は貰った紙を大切にペンケースに入れ、少し浮かれた気分で学校へと向かった。
「デクくん...何か良い事あった？」
「え？ど、どうして？」
「何となく楽しそうに見えたから。」
休み時間、麗日さんに聞かれた僕は「何も無いよ。」と誤魔化す。
「そっか。気のせいか〜。」
「う、うん。」
頷きながらペンケースを見つめ...心の中では何てLINEを送ろうか、そんな事を考えていた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年2月3日 5時
