結果...２０ ページ39
「おらぁぁぁぁ！！気合い入れてきばれやぁぁぁぁ！！」
「お父さん、声が大きいです！他の産婦さんもいますので落ち着いて下さい！」
「っ、さーせん。」
昨夜から始まった、待ちに待った陣痛...。
病院に到着してから13時間、子宮口がやっと全開になり、お産の佳境にやっと辿り着いた。
腰から背中...まるでハンマーで殴られている様な痛み。
痛みで息が詰まる度、勝己が「息をしろ。」と深呼吸をして見せてくる。
「爆豪さん、軽くいきんでみましょうか。陣痛に合わせて、深呼吸を３回してからいきみましょう。」
「は...い...。」
分娩台の上でいきんでもいきんでも、なかなか赤ちゃんが降りてこない。
陣痛の間隔に合わせ、いきむと股間に裂けそうな激痛が走る。
「も...あかん...無理やわ...。」
弱音を吐いた私に勝己が冒頭の言葉を大声で叫んだ。
「あ、赤ちゃんの頭...見えてきましたよ！」
助産師さんがガーゼで股間に水をかけ、赤ちゃんが出やすい様に処置をしてくれる。
「あー、痛いっ！！痛ぁぁっ！！」
「A、頑張れ！後...後少しだわ！！」
ぎゅうっと思い切り勝己の手を握り締め、全身全霊の力を込めて思い切りいきんだ。
「赤ちゃん出ます！いきまないで、夏場の犬みたいに短く呼吸をして下さい！」
勝己の方が必死でハッハッと呼吸しているのが見え、思わず笑いがこみ上げたその時...。
「おぎゃあ、おぎゃ、おぎゃあ！」
ズルズルッと大きな何かが体の外に出た感覚と...赤ちゃんの産声が部屋に大きく響き渡った。
「よく...頑張ったな。A、すげぇわ。やべ...言葉...出ね...。」
「産まれ...たぁ。赤ちゃん...泣いてるな。」
勝己はボロボロと大きな涙を零し、私と赤ちゃんを交互に見てまた涙を流す。
私は感動でこれ以上の言葉は出なくなり、頷く事しか出来なかった。
「おめでとうございます！元気な女の子ですよ。はい、お母さん、抱いてあげて下さい。」
満面の笑みの助産師さんが産まれたての娘を私の胸の上に置く。
「...可愛い。目元のツリ目、勝己にそっくりやん。」
「笑うなや。口元はA...だな。」
小さな小さな柔らかい手に触れ、勝己は「クソ可愛い。」と笑った。
そんなこんなで無事に娘を出産、勝己とも結婚して平穏な日々を過ごしている。
あんなに勝己から逃げようとしてたのになぁ...。
眠る娘を胸に抱き、テレビに映る闘う爆心地を見てこう呟いた。
「結果オーライ。こうなる運命やったんや。」
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年3月25日 16時
