銭湯１３ ページ12
BOOM!!
後ろで小さな爆発音が響き渡り、次の瞬間...勝己さんは私の目の前に舞い降りてきた。
「話の途中で逃げんなや！」
「今は...今は何も話したくない！彼女の振りならするから...もう話しかけないで！」
「泣いとんのにほっとけ「ほっといて！私の気持ち...っ！？」」
ガバッと抱きつかれたと思ったら...唇に柔らかい感触。
目の前に勝己さん顔があって、キスされているとすぐには判断出来なかった。
「んな...嫌、嫌って連呼すんな。さすがに傷付くわ。」
「何で...何でキスなんかするの！！？」
「私の気持ちって...んだよ？言ってみろや。」
優しい目をして微笑み、視線を私の高さに合わせて屈む。
聞こえて...たんだ...。何て言えば...良いの？
「...気持...ち...なんか...言ってな「俺の事...どう思っとんだ？」」
「どうって......良いお兄さん...だと「妹なんざいらねんだわ。」」
勝己さんの言ってる意味がわからず、何て答えれば誤魔化せるのか...頭をフル回転させて必死で考える。
「おい、聞いとんのか？妹はいらねえっつっとんだ。」
「...聞いてる。」
「わかんねぇか？」
「ごめん、わかんない...。」
「ちゃんと俺の顔を見ろや！んで、俺の話を聞け！」
「...えっ！？何！？」
心ここに在らず状態で適当に返事をしてたのがバレてたのか...。
頬をムニッと掴まれて我に返った私は、慌てて勝己さんの顔を見上げた。
「悪ぃ。嘘ついた。マスコミに言ったんは...わざとだわ。」
「どうしてそんな事...？」
「付き合ってるっつえば...一緒に居ても不自然じゃねぇからよ。」
「...何が言いたいのか全く...わからない。」
「この...鈍感！好きだっつう事だわ！察しろや...ボケ。」
コツンと私の頭を叩いて、勝己さんはそっぽを向いてしまう。
照れ隠しか...？
軽く咳払いをし、チラと横目で私を伺う様な素振り。
(好きっ！？勝己さんが私を...好きっ！？？)
今までお噂があったのは...モデル、タレント、アナウンサーと...きらびやかな方々ばかりの勝己さん。
私は一般人、しかも...しがない銭湯の番台に座っている至って普通の...いや、もしかしたら普通以下の女な訳で...。
握りしめた手の中は滴り落ちそうな位に汗をかき、額にも薄らと汗が滲み始める。
信じて...良いの？でも...でも...せっかく気持ちの整理つけた...のに。
勝己さんと私じゃ...不釣り合い...だよね。
「...A？」
黙り込む私の名前を呼び、勝己さんは深いため息をついた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年3月25日 16時
