26 ページ29
日々が幸せに包まれていたお陰で、生きているんだと実感できていた。
だから忘れかけていた。
目を覚ますともう朝で体を起こして床に足をつけて立ち上がろうとした途中、視界がグラグラと回り危機を感じた頃には床に倒れていた。
起き上がりたくても手も足も動かないどころか力すら入らなかった。
薄れゆく意識の中で部屋のドアが開いて、誰かが何かを言っているのが分かった。
けれど抱きしめられている温かさに安心感を抱いてしまい、そこで意識が途絶えた。
次に目が覚めた時には、真っ白な天井が見えて自分の状態が何となく理解できた。
『...じゅ...り...。』
そう呼ぶと手をぎゅっと握られて、視線を動かした。
『...きょも。』
『....だいじょ、ぶ。』
そう言うと樹の眉は下がった。
『...何が、大丈夫なんだよ。』
『...ぜんぶ??』
『...っ..。』
『...ほくと、は??』
『ここに居る。』
そう言って近づいてくれば必然と樹は離れていき、北斗が手を握ってくれた。
『...ほくと。』
『ん??』
『...ほくとのうで、あたたかかった。』
『...ん。』
『...ありがと。』
そう言うと北斗の目にみるみると涙が溜まっていき、俯いた瞬間に涙が布団に染み込んだ。
俺は必死に体を横にしながらゆっくり手を伸ばして北斗の髪に触れ、その手に出来る限りの優しさを込めて撫でた。
しばらくすると北斗は顔を上げてくれて、その目が真っ赤になっていて胸が痛かった。
『...北斗。』
『...疲れるだろ。あんま話すな。』
『...愛してるよ。』
そう言うと北斗は困ったように眉を下げた。
『...京本。』
『...この先もずっと。』
『...っ..。』
『...ずっと愛してるから。』
そう言うと北斗は手を伸ばして俺の頬に触れ、俺は北斗を見つめた。
『...俺も愛してるよ。』
『...。』
『...ずっと愛するから。』
『...ん。』
『...だから、何処にも行くな。』
そう言われて俺は自然と笑みを浮かべ、答えるように頷いた。
209人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あい(プロフ) - コメント失礼します。泣けました。これからも頑張ってください!! (2019年1月13日 6時) (レス) id: 20d8e8453e (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 素晴らしい作品をありがとうございます。更新楽しみにしてます。 (2019年1月1日 2時) (レス) id: fd962043f2 (このIDを非表示/違反報告)
とまと - とても面白くて読み応えあります!更新が楽しみです! (2018年11月29日 21時) (レス) id: 58ad9659bb (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - とても素敵な作品で更新楽しみにしてます!応援しています! (2018年11月21日 23時) (レス) id: 46ec5817d4 (このIDを非表示/違反報告)
藤菜 - 大我大好き!この小説とても面白いですね!頑張ってください!応援してます! (2018年11月17日 4時) (レス) id: cd27931c78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:seri | 作成日時:2018年11月14日 10時