10 ページ11
用事があって夕食終わりに部屋に戻った大我の元に向かうと､胸に手を当てている姿が見えて慌てて駆け寄った｡
目の前に跪いて背中を摩るとゆっくり顔が上がり､目が合うと力なく笑った｡
『大我｡』
『...大丈夫｡すぐに治まるから｡』
『樹､呼ぼうか??』
そう言うと大我は首を横に振った｡
『...耐えるのか??』
『...耐えられるから｡』
『...大我｡』
そう呼ぶと大我は深く息を吐いた｡
『...ジェシー｡』
『なに??』
『...側に居てくれて､ありがとう｡』
『...｡』
『...見ず知らずの奴らと一緒に住む決意をしてくれた｡』
『...大我｡』
『...大切な人に囲まれて日々を過ごしたいなんていう俺のワガママに付き合ってくれてる｡』
そう言って大我は微笑んだ｡
『ありがとう｡』
そう言った大我は再び俯いてしまい､俺はまた少し距離を詰めて座り直し背中を摩り続けた｡
しばらくして大我は疲れて眠ってしまい､俺は布団を掛けた後で黙って部屋を出た｡
リビングに向かうとソファーに樹が座っていて､近づくと顔が向けられた｡
『...少し長かったな｡』
『...うん｡』
そう言って樹の隣に座った｡
『...聞いてもいい??』
『どうぞ｡』
『...本当に､助かる方法はないの??』
そう聞くと樹は眉を下げた｡
『ごめん｡』
『...別に樹が謝ることじゃない｡』
そう言うと樹は正面を見た｡
『...きょもと再会した時､あいつは俺に言った｡ " 俺の最期を見守ってくれませんか?? " って｡』
『...｡』
『小さい頃から体が弱くて､俺はそんなきょもを守るのが役目だと思ってた｡』
『...｡』
『悔しかった｡長くないって聞いた時､心底自分が嫌になった｡』
『...｡』
『...だから､役目を最後まで果たそうって誓った｡』
そう言った樹は真剣な眼差しを向けていた｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 209人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あい(プロフ) - コメント失礼します。泣けました。これからも頑張ってください！！ (2019年1月13日 6時) (
レス) id: 20d8e8453e (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 素晴らしい作品をありがとうございます。更新楽しみにしてます。 (2019年1月1日 2時) (レス) id: fd962043f2 (このIDを非表示/違反報告)
とまと - とても面白くて読み応えあります！更新が楽しみです！ (2018年11月29日 21時) (レス) id: 58ad9659bb (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - とても素敵な作品で更新楽しみにしてます！応援しています！ (2018年11月21日 23時) (レス) id: 46ec5817d4 (このIDを非表示/違反報告)
藤菜 - 大我大好き！この小説とても面白いですね！頑張ってください！応援してます！ (2018年11月17日 4時) (レス) id: cd27931c78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：seri | 作成日時：2018年11月14日 10時
