病系短編集

僕のお兄ちゃん＊8＊ ページ8

みっくんへ


明日は試合だね


けどなんか嫌な予感がするから今のうちに手紙書くね


みっくんと最後に会ってから10年俺大人になったよね？


ここにずっと入院してて友達はいつも先に退院してった

けどまた会えるなんてほとんどなかった


だからみっくんが来たとき本当に嬉しかった


あの頃の俺は毎日死ぬことが怖くてたまらなくて恐怖しかなかった

けどみっくんは｢俺たちは今を生きてるんだ生きてるのは昨日じゃない先のことなんか考えないで今を生きればいいのにじゃないといつかは終わりのくる人生がもったいない｣

って言ったよね


あの時正直みっくんが何言ってんのかわかんなかった


けど今ならわかる


俺の命は長くてあと3日

この病気の最年長記録は20

それを考えると俺よく頑張ったよね？


毎日なんにも考えないで生きて毎日をムダに生きてる人もいる
けど俺は限られた時間しかないからこそそんな生き方はしたくないと思ったんだ


病院から出たこともないのにみっくんが退院してからずっと俺の夢はサッカー選手になることなんだ


結局叶いそうもないけど


みっくんにまた会って死ぬことについてまた考えたんだ


それで思ったんだ｡俺はただみんなよりちょっと終わりの日が近いだけでみんなとなんにも変わらないんじゃないかって


むしろ終わりの日がわかってたからこそこれまで頑張れたこともあったんじゃないかって


なんか強がりみたいだけど俺は少なくとも病気になって良かったと思ってる

病気にならなかったらわからなかったことたくさんあるから


最後に俺がいなくなっても泣かないでね


人っていうのは生まれた時から終わりの日に向かって生きてるものだから

だから何も特別なことじゃない俺はゴールしただけだよ

また新しいスタートを探して旅に出るだけだよ



みっくんに出会えて良かった

サッカーの試合まさか実現するとは思ってなかったから


すべてのことに感謝


みっくんありがとうそしてさようなら

またきっと会えるよね

俺はそう信じてます









山田涼介より

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