ハニーシロップと夏怪獣（Yuri.C）

． ページ9

．




…


「……うん、乗った！」



「え、」
涼介とちーちゃんが漫画みたいにハモった。



「私もいい加減恋したいなぁー、なんて」

光「いいぞいいぞ〜〜その調子だぁ〜〜！」




空気を読んだ、ってわけではない。


ただ、所謂その場のノリだと思っていて、明日以降にどんどんフェードアウトするものだと察していたし

楽しそうなものには乗っておこう！っていう軽い考えだったのだけれど。





そうして、絶望する2人を横目に、強制的に作戦会議が始まった。



．



…


…と、さっきまでの盛り上がりはどこへやら。


散々騒いで疲れ果てた彼らは、今はむにゃむにゃ夢の中。




テーブルの上、キャンパスノートに書かれたひかるんの文字。


眠たくて今にも閉じてしまいそうな瞼を、なんとか重力に逆らって持ち上げた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【真夏のモテモテ大作戦☆】


・山田 理想高すぎ。たかねの花男
→妥協を覚える。もっと庶民派になる。


・知念 引きこもり。可愛すぎ。
→気さくな男になる。男らしさをみがく。


・A 大人しい。話したら面白いのにもったいない。
→もっと積極的に！！！


・オレ 色々あるらしい
→がんばる。


・有岡 典型的な友達止まり。ブス
→来世に乞うご期待
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




大学生とは思えない、まるでお子ちゃまのような議題。



まぁでも、これはこれで、いつか青春の1ページとやらになるのかな。

私としては、こんなバカみたいなことができる仲間がいるだけで充分なんだけど。



…


じとっと暑い室内

皿洗いのぬるい水道水ですら気持ち良く感じるこの季節




せっせと片付けをしながら、

ほんの少し、今年の夏を思って胸がソワソワした。


．

炭酸水が弾ける合図→←．

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す