． ページ38
．
どくん、どくん、
さっきよりも忙しなく動き出したこの胸は、不安のせい……
…ではなさそうだ。
．
侑李「……なんちゃって」
「、ちーちゃん、」
振り向いた先、きゅっと口角を上げた彼が立っていた。
侑李「何してんの、逃亡？」
「ちが、！……トイレにスマホ忘れてきたかもしれなくて、」
侑李「あはは！浮かれて溺れるかと思ったら、そっちかぁ」
おっちょこちょいだね〜って言いながら、私の隣をのんびり歩き始める。
「もう、びっくりしたじゃん…」
侑李「ごめんごめん。怖かった？」
「…いや、わりとすぐちーちゃんだって分かったから、声で」
侑李「あらぁ、残念」
「ちょっとー、やっぱり怖がらせたかったんじゃん！」
違うよ、って笑いながら、人差し指で前髪を分ける仕草。
なんだかもう、彼の癖まで覚えてしまっている。
侑李「やっぱり……目離せないんだよなぁ」
「…え？」
ふいに、ちーちゃんが何か呟いたんだけど
聞こえたような、聞こえなかったような
聞き返したけど、ん？って可愛い顔で誤魔化されてしまった。
侑李「……Aさぁ、もう少し周りを見ないと」
「周り見てるよ私」
侑李「そういう意味じゃないって」
「じゃあどういう意味？」
侑李「……危機管理能力、とかさ」
急に俯き出したちーちゃんに首を傾げていたら、
それはもう…本当に突然だった。
彼の左手が、私の右手をすくい取って
控えめな力で、ぎゅっと握られた。
手を、繋がれた。
「…ちーちゃん、あの、」
侑李「…虫除けだよ」
「虫除け…？」
侑李「こうしておけば、絶対安全なの」
顔を背けた彼の耳がほんのりとピンク色に染まっていることに気づいてしまった私は、
この暴れ出した心臓をどうすべきか必死に考えながら、
ほんの少しだけ、勇気を出して手を握り返した。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きゃめる(プロフ) - めちゃくちゃお話好きです！！！更新大変だと思いますが、頑張ってください！応援してます(o^^o) (2018年8月27日 1時) (
レス) id: 4f69638b1d (このIDを非表示/違反報告)
沙耶(プロフ) - こんにちは、知念担です！ (2018年8月27日 1時) (レス) id: 4f69638b1d (このIDを非表示/違反報告)
陽月(プロフ) - 追伸、私はがっつりリア恋枠ですが、全然想像とかけ離れてなんかないですよ！相手や周りには「え？僕は別に」って隠すけど、微妙に隠しきれてなかったり、陰で悶えてるとか、どちらかと言うと、正に！って思いました(^^)パート2も楽しみにしてます！！ (2018年8月21日 21時) (レス) id: a2dda5cfec (このIDを非表示/違反報告)
陽月(プロフ) - ぐあぁーー！ちーちゃんの、し・た・ご・こ・ろ！！（もっと頂戴）← 変態大歓迎です！← って、本当にほぼ毎回コメントしてしまってますが、どうしてもこの興奮と感謝を伝えたくてですね！ウザかったら言ってください 笑 次のお話まで悶えて待ってます← (2018年8月21日 21時) (レス) id: a2dda5cfec (このIDを非表示/違反報告)
hy8(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます！既にちーちゃんに悶えてるのに、これからのちーちゃんがたのしみすぎて今後じぶんがどうなっちゃうか若干心配です。笑 更新がんばってください！楽しみに指咥えてまってまーす！ (2018年8月21日 20時) (レス) id: b2e047b4f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あおい
| 作成日時：2018年7月21日 21時
