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バイトが終わり、地下鉄に揺られながら
窓の上に並ぶ広告をぼんやり眺める。
少しでも気が緩むと視界が涙で滲みそうになるから
ひたすら文字を目で追って
考えないように、考えないように…
それでもやっぱり溢れ出してしまいそうで、唇を噛み締めた。
…
「ちょっとお姉さん」
空いたテーブルのお皿を片付けていると、おばさま3人に声をかけられた。
声色からして、イライラしているのはすぐに分かった。
A「はい、どうされましたか」
「どうされましたかって…さっき食後のコーヒー、追加で注文したんですけど」
A「あ…すみません、ただいま確認してまいります」
あまりにも恐ろしいオーラに、慌ててキッチンへ走ろうとしたまさにその時
横から例の先輩が割って入ってきた。
「大変申し訳ありません」
「あら、あなたじゃないの注文とったの!どうなってるのよ」
次の瞬間、信じられない言葉が耳に入ってきた
「すみません、こちらの新人に注文を伝言したのですが…ご迷惑をおかけする形になり、大変申し訳ありません」
淡々と嘘を吐き出す先輩に、血の気が引く
A「え、私はっ、!」
その言葉を遮るように、先輩の左足が思い切り私の右足を踏みつけた。
A「っ、!!!」
「ただいまお持ちいたしますので、もう少々お待ちください」
おばさま達は先輩に「ごめんなさいね」って手のひらを返したように振る舞って
私を睨みつけてきた。
「八乙女さん何してるの、早く来て」
私じゃないんです、あの人が…
でもそれを言ったところでどうにもならないことはもう分かってるから
A「…すみませんでした」
ぽつりと呟いて、先輩の後を追った
後ろから
今の若い子って駄目ね〜
みた?あのふてくされたような態度
そんな心無い言葉が聞こえてきて、涙が出そうになるのを必死に堪えた。
A「先輩、私伝言なんて、!!」
感情的になりそうなのを抑えてそう言うと、先輩が思いっきり舌打ちした。
「うっさいわね」
「あんた、目上の人間の顔立てるくらいできないとやってけないよ?」
「ただでさえとろいんだから」
馬鹿にしたように吐き捨てられたその言葉に、振りかざしそうになった手を必死に握りしめた。
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はっちゃん - はじめまして!とにかく大ちゃんが可愛すぎて、カッコよすぎてキュンキュンしました!! (2020年1月4日 15時) (レス) id: 0d57913dc4 (このIDを非表示/違反報告)
あいりんぐ - 下で「お話」が「おはまし」になってました…恥ずかしい…!「おはまし」ではなく「お話」です! (2017年4月2日 20時) (レス) id: b69586095a (このIDを非表示/違反報告)
あいりんぐ - 6ページでメインの有岡さんが出てきた瞬間にやけました笑 あぁ、恋って甘いですね。胸キュンが止まりませんっ!これからもあおいさんのお話楽しみにしてます!あおいさんのおはまし大好きです!! (2017年4月2日 20時) (レス) id: b69586095a (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - ハルジオンさん» コメントありがとうございます!特徴ちゃんと捉えてますかね…!そう言っていただけて本当に嬉しいです(;_;)!!! (2016年10月30日 19時) (レス) id: 11876dc396 (このIDを非表示/違反報告)
ハルジオン - どきどきしすぎて…心臓がやばいです。作者さんBEST兄さんの特徴を捉えるのが上手で、本当に想像できます!!感動です!!!笑 (2016年10月27日 0時) (レス) id: e905434a85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおい | 作成日時:2016年3月28日 19時