ヒトガタ少女の日々

人形 その3 ページ5

ガサッと茂みがなり、小さいモノが飛び出してきた。なにやらすばしっこそうなそれは、

人形だった。

色が半分くらい抜けた絡まりまくっているボサボサの髪。原型がわからないほどボロボロの着物。ひび割れている顔。そんな異様極まりない外見の中でも際立っているのは、大切そうに身にまとっている黒っぽいちゃんちゃんこである。目を凝らして見てみると、驚いたことにそれは、

「人毛ちゃんちゃんこ！？」
「幽霊族の生き残りを馬鹿にするな！！」

………鬼○郎？ってそうじゃなくて。

今回の仕事は、夜中2時にここの道で若い女性の髪が切られたという内容だ。

「あいつが犯人か」
「どうりで私たちに仕事が入ったわけだ」

「ああ、お前ら、退治師か」

突然、人形が口を開いた。若い男の声だ。おかしいところは何もない、がしかしこみ上げてくるこの嫌悪感はなんだろう。

「しかも、恋びt「「兄妹だ！！」」

血は繋がってないけどね。心の中で言う。

「そのわりには妹の方の見た目がそこまででもないが……。まあ、髪が獲れたらいいだろう」

その時、空気がピンと張り詰めた。人相が悪くなるのを感じる。
禁句を言いやがった…。こいつは絶対殺す。

さあ、戦いの始まりだ。飛びかかってきた人形に向かって、エモノを突き出した。

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