人形 その1 ページ3
私は夜の仕事をしている。と言っても、そういう仕事じゃない。かと言って、中学生が夜中に外に出てする仕事を他に何と言うのだろう。くどいようだけど、本当にそういう仕事じゃない。私の仕事、それは…
とある都市の郊外にある、山に半分くらい入っている町(村?)黒衣町。そこの山の部分にある道に、私は立っていた。季節は4月、時刻は夜中の2時前、人家からは少し遠ざかっている。明かりは街灯のみ。夏なら何か出るところだ。主に虫、そして怪談話でおなじみの奴らが。あいにく今は春だけど。というか、出るのに季節なんか関係ないけど。
…てか寒っ。上着着て来れば良かったな。私は、隣に立っている男に話しかけた。
「華夜、上着貸して」
「嫌だ。俺だって寒いんだよ」
漆黒の髪に黄金の瞳、殺意がわくほど端正な顔立ちのこいつが顔の割にモテないのは、女子に対する態度が男子に向けるそれと同じだからだ。半分でもその顔をゆずってくれれば有効活用してやれるのに。ああもったいない。
「妹が風邪ひいてもいいの」
「ひきそうにないだろ、お前の場合。これが病弱な深窓の令嬢だったりしたらゆずる」
最悪だな、こいつ。小夜姉ならせめて交代制にしてくれるのに。本当にこいつと双子だとは思えない優しさだ。
これ、もうぶちのめしていいよね。
チッと舌打ちをして、エモノを握る。華夜も握っているのが見えた。口角が上がっている。まったく、やっぱりこいつは性格がひん曲がっているんじゃないか。とは思いつつも、私の口角も上がっているのだろう。今日は早く終わりそうだ。
時刻は夜中の2時ちょうど。私は握りしめたエモノに小刀を突き刺し、
さっきからずっと物音がしている方に力一杯投げた。
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パイ皮 - 評価していただいた方、ありがとうございます。 (2015年3月8日 20時) (レス) id: 7af9fb7f2a (このIDを非表示/違反報告)
パイ皮 - 評価していただきありがとうございます! (2015年1月29日 17時) (レス) id: 58669513da (このIDを非表示/違反報告)
パイ皮 - ありがとうございます!!返信遅れてすみません。 (2015年1月25日 21時) (レス) id: 58669513da (このIDを非表示/違反報告)
ミーちゃん(プロフ) - パイ皮さんこんばんわ更新頑張ってください《*≧∀≦》 (2015年1月15日 19時) (レス) id: 033afe100d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パイ皮 | 作成日時:2015年1月12日 20時