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頭が可笑しい奴を見ているような目をしたり、助けた自分にそんなくだらない虚言を吐くのか、と怒り出したり、反応は三者三様だったが、共通するのは、まず否定から入るところだった。
それが悪いとは言っていない。
自分がもしその立場だったならばきっとそう思ってしまうだろうし、そういう場面に運悪く立ち会ってしまった時点で気が滅入っているというのに、それに加え「不老不死」なんて意味不明で非現実的な事を言い始めたら、誰だって「は？」となる。
「……なるほど、そう来ましたか。不老不死」
顎に手を当て、復唱した河村さんの目は、彼らのように冷めきっては居なかった。
逆に、刃物を手首に当てたり、喉に突き立てようとして死のうとしている姿を見て、一緒に生きよう、大丈夫だ、とじさつを選択してしまったことを非難せず、励ましてくれる人も居た。
約100年間この世に縛り付けられている私だが、そんな人達はやはり少なかった。記憶にある限り、二人。
そのたった二人は、私が不老不死だとカミングアウトした事を、直ぐには信じてはくれなかった。けれど、完全に否定はしなかった。そういうのもあるのかもしれない、と。
だから恐らく、彼は、そのタイプなのではないだろうか。勿論、絶対というわけではないが。
「貴女が不老不死であるということは、無神論者を謳っている立場なので完全に信じることは出来ませんが、この世では何があるのか分からない。今現在だって、本来ならば僕は今頃オフィスで仕事をしていた頃でしょう。それが今、全く縁の無かった廃墟ビルの屋上で、全く縁の無かった女性と話している」
「……つまり？」
「全く無いとも言いきれない、という事です」
それに貴女が嘘を言っているようには見えませんしね。そう言って笑みを深めた彼は、やはり、今まで出会ってきた人達とは、なにかが違った。告げている意見は二パターンのうちの一つに当てはまっているというのに、違う。
この人は、楽しんでいる。先程ゲームを持ちかけてきた時のように、私が不老不死だとカミングアウトしたことを。
「もし仮に貴女が不老不死だと仮定したならば、今は何年ほどその姿でこの世に？」
「え、あの……記憶に、ある限りだと、100年、程ですけど……」
「100年。ならその20年前くらいに産まれたんですね。約100年前というと、白ロシア・ソビエト社会主義共和国樹立はそのくらいの時期だったような気がします」
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白菜(プロフ) - 歌さん» コメントありがとうございます！確かに今思うとぴったりですねw (2021年4月8日 13時) (
レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
歌 - この作品の後に『夜に駆ける』を聞いて号泣しました。最高でした！ (2020年9月7日 15時) (レス) id: 1444924b03 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 和奏さん» コメントありがとうございます。私もこの作品を書く際にはいろんな事を考えさせられました。その中で思ったのは、やはり人生は終わりがあるからこそ美しいんだろうなということです。顔も見えない奴ですが、最後の時まで和奏さんが笑顔でいれるよう、願っております。 (2020年8月14日 10時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - 私事になりますが、私は余命宣告を受けています。永遠があれば、と考えたことがありました。でも、白菜さんの小説を見て永遠なんて最悪だと思いましたね。大切な人の死は見たくない。白菜さんには毎回心を揺さぶられてます…今回も素敵な小説、ありがとうございました。 (2020年8月13日 10時) (レス) id: ea0b227b7d (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - はーちゃんさん» 書き始めた当初は終わりだけしか思い付いておらず、さてそこまでどうもって行くかにめちゃくちゃ頭を悩ませたんですが、そう言って頂けて嬉しいです。まさか後書きまで褒めて貰えるとは思ってませんでしたが(笑)こちらこそ有難いコメントありがとうございました！ (2020年6月12日 19時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
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