三十五 おまけ ページ42
楓原side
拙者は耳が良い、故に困る事も多い。
だがしかし…、今はこの耳に絶大なる感謝を感じている。
浅「すき、だよ。万葉」
小さく、小さく呟かれた言葉が、拙者の耳にはよく聞こえる。
待ち望んだ言葉、待ち望んだ呼び名。
全てが拙者の心を浮かせる。
だが既に船は動き出し、Aと拙者の距離を遠ざけてゆく。
嗚呼、離れたくないのに、…淋しく、哀しくなり唇をぐっと噛む。
だが、それよりもAの顔が気になって…Aに拙者もだと伝えたい、と、そう思って。
欄干に手を置きヘナヘナと座り込む。
胸の鼓動が速い、胸元の服をひしと握りきゅ、と目を細める。
嗚呼、好きだ、好きだ、どうしてこんなにも……
ずる賢いのだろうか、A。
拙者の気を乱すのが得意な様だ。
きゅう、と胸を締め付けられ、息が上手く吸えない
…拙者は重症である様だ、こんなにも惹かれているなんて。
『また、すぐ逢えよう』
自分に言い聞かせる様に弱く言葉を紡ぐ。
ふと影がかかって頭を上げる
見れば、姉君が嬉しそうに拙者の背中をバシバシと叩いた
北「おうおう万葉！！辛気くせぇなぁ！」
『姉君、…拙者は…、』
北「なぁに大丈夫だ。またすぐに会いに来れるさ」
そ、れ、に。と口角を上げながら話を続ける姉君。
…拙者は今傷心中であり恋人の可愛さに悶えているのだが……、まぁいい
北「その時は早くAを連れてここに戻って来な！」
『…あぁ、分かっているでござるよ』
不思議な慰め方であるが、これもまた北斗姉の良いところである。
ふ、と笑えば嬉しそうににっこりと笑った姉君。
踵を返し他の船員の元へと歩いていく姉君、まったく、頼もしい背中であるな
『ちゃんと、覚えていてくれたでござるか…、ふふ』
手紙の内容、しっかり覚えているではないか、
顔が綻んで心がじんわりと暖かくなる
風当たりの良いところに行き、この熱く浮いた心を冷ますとしよう。
こんな格好悪い姿、Aの前ではせぬ様に。
朧朧としてきた風景、だがそれも偉観の様な気がするのは、まだ熱が覚めていないからであろうか
冷たく涼しい風に撫でられながら、壁に身を任せ、遠望する。
だが、振り返ることはしない、Aにまた会いたくなってしまうから。
まだ頭から抜けきらないAを愛おしく想いながら、次会える時をじっと待つ。
愛しきA、寂寞たること無い様に。
〜fin〜
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河井 - ぷんさん» 嬉しさ満開！いい言葉ですね！！楓原万葉…罪な男です。ただし私が書くものはどうしてもネタ寄りにまでなってしまうので…真面目な万葉も頑張って書いていきたいと思います…！こちらこそありがとうございます！ (2023年1月9日 0時) (
レス) id: 8a7a723f92 (このIDを非表示/違反報告)
ぷん - ひゃー！！！！推しのBLだぁぁぁ！！！！！嬉しさ満開！！！なかなかないから本当に嬉しいですありがとうございます泣 (2023年1月8日 14時) (レス) @page9 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
河井 - 夜叉さん» わひゃー！！！嬉しいですありがとうございます…… (2023年1月6日 16時) (レス) id: 8a7a723f92 (このIDを非表示/違反報告)
夜叉(プロフ) - 神作を見つけてしまったありがとうございます推しが尊い（殴 (2023年1月6日 16時) (レス) @page4 id: 0a276b4c2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：河井 | 作成日時：2023年1月6日 11時
