お姫様と2人の騎士 (ページ3)

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教室に向かえば案外知ってる顔見知りが多くて安心した．

出席番号順の座に座れば田中、茅ヶ崎(凛ちゃん)、月島と連続で並んでいた．北斗は松村だから1人離れた席で寂しそうにしていて、それをみて樹は北斗のところに遊びに行った．

『凛ちゃん』

「どうしたんだい、A」

『私、今年こそ2人離れして彼氏を作る』

「え！！？」

『そんな驚く？』

「いや〜、だってAって恋愛とか興味無さそうだったじゃん．それに、、」

『それに？』

「いや、なんでもない！それよりどうしてそんないきなり」

『周り子達はみんな彼氏とかいて楽しそうだし、私だって恋愛したい！高校生にしか出来ない青春がしたい！』

「それはいい心がけだとは思うけど」

『それにずるいもん』

「なにが？」

『樹は知らない間に彼女が何人か出来てたりするし、北斗だって彼女いないけど告られたりしてるし、凛ちゃんだって年上の素敵な彼氏がいるじゃない．私だけ、そういうの1度もない、、』

『いい感じになったことは何度かあるんだよ、？でも、いい感じのまま終わっちゃうの．なんでだと思う？私に魅力ない？』

「うーん、それに関しては他に問題があると思うな〜」

『他の問題って？』

「それは私からは言えない」

『どうして？』

そんな私の質問を遮るかのようにチャイムが鳴った．凛ちゃんは何故かホッとしている．なぜ？
チャイムと同時に入ってきたのは今年1年たくさん関わることになる担任だった．

「今年のこのクラスの担任を務めます．玉森裕太です．1年間よろしくお願いします．」

玉森裕太こと玉ちゃん先生．かっこいいのはもちろん絶妙な緩さと授業に向き合う真剣な姿勢とのギャップが支持を集めている人気の先生．私も好きな先生の1人．

「A、今年のクラスは当たりクラスだね」

『ね！凛ちゃん！楽しくなってきた！』

私は凛ちゃんと目を合わせて微笑みあった．

「SHRはめんどくさいから俺の自己紹介だけでいい？みんなもやりたい？」

その一言にクラスの大半が首を横に振る．過半数が賛成しているがそうはいかないだろう．だって、こういう時に1人口を出す男を私は知っている．

「せっかく1年間一緒で仲良くしてくのに自己紹介しないのはないべ？」

ほらね．でたよ、陽キャ田中樹．この男が言えば少数派の形勢逆転．玉ちゃん先生は面倒くさがりながらも樹の言うことも一理あるということで順にクラスメイトたちが自己紹介を始めた．

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