第12話 ページ12
A_side
思いっきりやらかしてしまった昨日。
あんなに熱中してしまうとは思わなかった。
いや、あの人らが楽しそうにバレーしてるから…つい。
そんなことを考えていると、体育館の近くまで来た。
「あぁ、昨日の!どうぞー」
スタッフさんに目が合うなり微笑まれた。
そんなに印象的やったんかな?笑
ささーっと通って昨日と同じところを探す。
『バボ、バボ、バボ……あった!!』
ガチャ
ドアノブを引いて、隅の方に荷物を下ろそうとしたとき
視界の隅に何かが映った。
拾い上げてみると
『ん…?iPodじゃん!!』
かなり高級品であるiPodが何故ここに?!
困ってしまって、しばらく動けなかった。
とりあえず、入り口近くのベンチに置いておこう。
『前のバボちゃんの人のヤツかなぁ』
不思議に思いながらも、時間になるまでスマホをいじっていることにした。
探検しないのか、って母さんには言われた。田中さんにもね。
まあ、もうそんな年じゃないんで。
『っていうか、昨日ある程度見ちゃったし』
それ以上は求めないんだよね。
それよりもバボちゃんに入りたい。
暫く弄っていると、正午近くなったのかお腹が鳴った。
予め用意しておいた菓子パンを頬張り、スマホに目線を落とす。
あ、このジャム好きなやつだわ。
「〜〜、〜〜〜!!」
「〜〜〜?〜〜」
反射的にぐっ、と息を止めた。
どうやら、扉の前に誰かいるらしい。
そのままどこかへ行ってくれ。
そんな願いとは裏腹に、声はどんどん近づいてくる。
「〜〜で、も〜〜〜い!!」
「〜〜んま、〜〜?」
ついに扉の真ん前に立ったのか、声が明晰に聞こえる。
「っぱ、ぜってーここしかねーよ」
「え〜、でもそんな自信ある小川さん逆に頼りないっていうか?」
「いや、だって昨日もここに忘れてたんだよ?おれ」
昨日のトートバッグはあなたの物でしたか。
オガワさん。
唐突に光が差し込んできた。
ともに見えるのは身長の高いお方々。
AA。詰みました。
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作者名:zyuma | 作者ホームページ:http://towa
作成日時:2023年11月24日 17時