▽こっち ページ5
ずんずん長い足で歩いて行くセフンに後ろから声をかけてみる
｢先に歩いてますけど私の家覚えてるんすかセフンさーん｣
｢覚えてるし｣
2度、私の家の前まで来たことがある
高校3年生の頃、体育で足を捻挫した私を自転車の後ろに乗せてくれた
今考えると良くそんなことが出来たと思う
2度目は急にインターホンがなったと思えば課題を見せてくれと言うセフンがいたのだ
セフンって実は友達少ないのかな
そんなことを思いながら課題を貸した記憶はわりと新しい
とりあえず適当について歩いていたのだけど、分かれ道で足を止めた
それに気付いたのかセフンが振り返る
｢ん？どしたの？帰りたくなくなっちゃった？もっと俺と一緒にいたい〜とか？｣
｢何馬鹿みたいなこと言ってんの？そうじゃなくて、こっち｣
セフンが進む方向ではなくて左の道を指さした
私はいつもこっちから帰るんだ
｢え？こっちのが近くない？｣
｢こっちの道の方が好きなの｣
｢何だそれ、なんで？｣
別にその道が好きなわけじゃない
セフンが進む道が好きじゃないだけだ
でも、なんでと聞かれると困る
それを聞かれた時の回答なんて考えてなかった
｢……別に、なんとなく？じゃあ今日はそっちから帰ろうかな？｣
変に突っ込まれたくなくて仕方なくセフンが進む道を選んだ
自然と早まる足はセフンに追いついて、しまいには追い抜かした
｢なんで今度は速くなるの！？ずっと後ろにいたくせに！｣
｢競歩の練習〜｣
｢いや競歩ってそんな歩き方しないよ、こうやって……｣
｢いや真面目に返さないでよ冗談だから｣
｢も〜意味わかんない｣
そう言って私の隣に並んだ
すると少しだけ、落ち着いた気がした
横に見える公園には目を向けずに前だけを見て歩いて
ブレスレットをぎゅっと握りしめる
お腹がぎゅうっと締め付けられたような感覚が襲った
額には汗が滲んでいたし手汗が酷い
ああ、こんなふうになるんだ
なんて人事のように考えていた
｢A？｣
少し眉間に皺を寄せるセフンと目が合った
それに笑って、何？なんて返してみせる
｢汗ひどいけど、どしたの？｣
｢夏だからね｣
｢そっか｣
只今の時刻、23時
それもまた嫌な感じだ
セフンは本当に私の家まで送ってくれて、あくびをして伸びをすると私をじっと見た
｢じゃ、おやすみ｣
何か言われるのかと身構えたけれど、それだけ言って私の返事も待たずにさっき来た道を戻って行った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 556人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
K(プロフ) - ペコさん» コメントありがとうございます！わかります私もそんな感じです…(笑)嬉しいですありがとうございます(;_;)今後もよろしくお願いします！ (2017年10月3日 23時) (
レス) id: 2082ebeeaa (このIDを非表示/違反報告)
ペコ(プロフ) - 一気に読んじゃいました！面白かったです！あー、今の癒しは作品読みながら妄想と現実逃避になってしまってます(笑)他の作品も楽しく拝見してます★ (2017年10月1日 23時) (レス) id: d2f2d687fb (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 山下 舞優さん» お久しぶりです、遅くなりましたが付き合ってからの2人を短いですが書いてみました！もし良かったら読んで下さると嬉しいです(^o^) (2016年8月21日 19時) (レス) id: 2082ebeeaa (このIDを非表示/違反報告)
山下 舞優(プロフ) - お返事ありがとうございます！！大変なことを言ってしまって申し訳ありません(＞＜)楽しみにしてます！！ (2016年5月9日 21時) (レス) id: f4415a2e1b (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 山下 舞優さん» コメントありがとうございます！嬉しいです(; ;)余裕が出来たら少し考えてることがあるので、もしかしたらですがその後のお話もかけるかも知れませんのでよろしくお願いします！ (2016年5月9日 12時) (レス) id: c9ee003b2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：K
| 作成日時：2016年3月17日 21時
