決意の理由 ページ13
｢鍵…｣
小さく呟くとミンソクさんは大きな目を少し細めて怪訝な顔をした。
｢鍵？｣
｢はい…あの、私前に鍵失くしたじゃないですか。あれ、元彼が拾ってずっと持ってたみたいなんですよ｣
ミンソクさんはああ、と驚いような声を上げた。
きっと自分の中で話が繋がったのだろう。
｢最近まで拾ったことも忘れてたけど唐突に思い出したみたいで…ずっと持ってられるのもなんか嫌だから返してもらおうと思って会ったんですけど…｣
ここからが問題なんだ。
ミンソクさんが知りたいのもここから先なはずだ。
｢あの、なんか、久しぶりに会ったら全然気を使わなくていい上に最近色々あってヤケ気味に飲みまくってしまったみたいで…｣
｢それで記憶をなくしたと？｣
｢はい…｣
情けなすぎて顔を上げられなかった。
ミンソクさんは酒に吞まれることなんて絶対に無いだろうから余計に恥ずかしい。
首の痕まで見られてるんだから寝てしまったことは確実にバレている。
最悪すぎる状況だ。
｢あの、電話…私何話してましたか？あの人はほとんど聞き取れなかったって…｣
｢ああ、はい、ほとんど聞き取れませんでした｣
ちらりとミンソクさんを盗み見るとコーヒーを飲んでいるところだった。
でも、それって…
｢ほとんどってことは聞き取れたのもあるんですよね？教えてもらえませんか？何も覚えてないの怖すぎて…｣
ミンソクさんはカップを置いてうーんと少し迷ったように、そしてなんだか罰が悪そうな顔をした。
｢馬鹿って、言われました｣
｢えぇ！？え、私がミンソクさんに！？馬鹿と！？｣
あまりの衝撃に驚いた体勢から暫く動けなかった。
酔っていたとはいえミンソクさんに馬鹿なんてどの口が言うんだ。
｢すみません私なんてことを…！ミンソクさんが馬鹿だったら私は虫けらだ！ああ、ありえない…本当にすみません！！｣
｢いや、ほんとその通りなんです｣
｢へ…？｣
妙に落ち着いた声で話すミンソクさんの表情は何故かスッキリとしている。
その表情が何を思って出てくるものなのか分からなくて戸惑った。
｢ベッキョニに言われた事も思い出した｣
｢ベク…｣
あの日2人はどんな話をしたんだろう。
その場にあの人はいたのだろうか。
色々気になるけれど聞いていいのか分からず押し黙った。
｢あの時やめやれなかった関係をやめる決意が出来た。ただの馬鹿だった。それに気付けた｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1029人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「EXO」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みつき - オトナの恋物語という感じで私には苦くて酸っぱくてそしてほんのり甘かったです。お互いを思いやったり気持ちを押し殺したりリアルで切なかったです。ありがとうございました！ (2019年6月12日 4時) (
レス) id: bd38120f18 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ソルさん» お返事遅れて申し訳ございません！わ、読み返してくださったんですね(;_;)イムさんのことまで好きだと言ってくれてめちゃくちゃ嬉しいです...番外編もツイッターになってしまいますがよろしくお願いします！！ (2018年8月23日 18時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
ソル(プロフ) - 最初〜読み返してしまいました！しうちゃんとくっ付いて嬉しかった反面、べくが切なくて...でもきっとベクをたくさん愛してくれる相手に出逢えますよね^ ^イムさんも、なんか好きでした！その後の2人とベクイムさんも楽しみにしています♪Kさんお疲れ様でした！ (2018年8月15日 14時) (レス) id: 0f050d23ca (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - あまいくりーむさん» いつもコメントありがとうございます！そんなふうに言っていただけて本当に嬉しいです...息抜きや楽しみになれていたなら本望です！本当にありがとうございましたー！！ (2018年8月11日 12時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - みんみんさん» コメントありがとうございます！ミンソクさん派だったのですね！結末に満足して貰えたようで嬉しいです(^^)こちらこそ最後までお付き合い頂いてありがとうございました！またどこかでお会い出来れば嬉しいです！ (2018年8月11日 12時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：K
| 作成日時：2018年5月26日 23時
