いつも通り ページ3
酔って眠ってしまったベクを叩き起こし、タクシーに押し込んで私達も一緒に乗ってベクの家へ送り届けることになった。
ベクは窓に頭を預けているのでたまにゴンッと鈍い音が聞こえるけれど、既に深い眠りに落ちたベクは目覚めることは無い。
助手席にいるミンソクさんの後ろ姿を見つめながら溜め息をついた。
いくらなんでも泣きすぎた。
お酒は一滴も入っていないのに醜態を晒してしまった。
今日見せたのは昔の私でも今の私でもなかった気がする。
自分でも知らない自分だった。
隣でまた窓に頭を打つ音が聞こえて、流石に可哀想に思えてそっと頭を正常な位置に戻してやると、今度はこちら側に頭が傾いてきてしまい慌てて手で支えてみた。
気持ちの良さそうな寝息を聞きながら最後に聞いた言葉を思い出すと鼻の奥がつーんとした。
支えていた手をそっと離すと肩にベクが寄りかかって、ふわりとした髪が首を撫でる。
ベクはどうして私なの？
私より素敵な人は掃いて捨てるほどいるのに。
私はどうしてベクじゃないの？
触れ合うほど傍にいて、それがこんなにも居心地が良いのに。
涙がこぼれ落ちる前に掬いとり、ゆっくりと深呼吸をして目を閉じた。
次に目を開けた時には、いつもの私。
昔の私もさっきの私もしまっておかないと。
いつもの私は馬鹿みたいに正直でおどけて笑うピエロだ。
悲劇のヒロインなんて、似合わない。
車が停車したのでゆっくりと目を開くと、どうやら目的地へ到着したようだった。
｢こら、ベク、起きて｣
私に体重を預けていたベクが驚いたように飛び起きて視線を左右に走らせてから私を見た。
｢あ、え…家？｣
｢そーだよ。てかちゃんと自分で住所言ってたから！ほら、降りるよ｣
まだ頭が回っていないのか私に続いて降りてくるベクは少し寝惚けたような顔をしている。
私に言ったことは、覚えてなければ良いんだけど。
｢あ…ヒョン、タクシー代…｣
｢今日は俺の奢りだって言っただろ〜｣
｢いや、タクシー代まで払ってもらうわけには…｣
｢いーから｣
財布に手を掛けていたベクの手を押し戻すミンソクさんは少し強引だったけど、そんな所にもときめいてしまう。
ベクはなんだかしゅんと萎れてしまい、ひとまわりくらい小さく見えた。
｢すみません、飲みすぎました…俺、先輩に何か言ってませんでした？｣
｢何も｣
そう言って笑うと、ベクは力無く微笑んだ。
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K(プロフ) - ソルさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます(;_;)ミンソクさん派も多いのですね！どちらとのハッピーエンドなのか、楽しんで読んでもらえると幸いです(^_^) (2018年5月24日 20時) (
レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ゆなさん» ベクペンさんなのですね！私なら選べないです、どちらとも幸せになりたいです...笑 (2018年5月24日 20時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - きらさん» こんばんは！わー、ミンソクさん派！ベク派が多いと思ってたのでなんだか嬉しいです(>_<)どちらとも幸せになれれば良いのに...と作者なのに悶々としてます笑 (2018年5月24日 20時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
ソル(プロフ) - いつも楽しく拝見してます！ミンソクさんとハッピーになってもらいたいなって思いますっ！ (2018年5月20日 23時) (レス) id: 0f050d23ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - ベクペンだけど、選べません（笑） (2018年5月20日 4時) (レス) id: 2f6c46c71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K
| 作成日時：2018年3月15日 18時
