・ ページ8
お互いの家族構成
好きな食べ物
まぁその2つだけで電車の中では会話に困らなかった。
ミンソクさんには妹がいて、けっこう仲良しらしい。
私には弟がいるからそこでちょっとした兄、姉のあるあるで盛り上がりがあった。
｢ミンソクさんて今28ですよね？｣
｢そうですよ｣
｢彼女さんはいないんですか？｣
仕事が出来て見た目も良いんだからいて当たり前だろう、という心持ちで聞いた。
｢最近別れましたね｣
｢えぇ！？え、すみません、なんか…！｣
｢あはは、謝る事ないですよ｣
視線をそろそろとミンソクさんへ向けてみると前を見たまま笑っていたのでそこまで気を悪くしたわけでは無さそうだ、と安堵した。
｢そういうAさんは？彼氏いるんですか？｣
｢私も最近別れました！お揃い！｣
｢あはは！お互い様ですね｣
豪快に笑い飛ばされて心地良いくらいだった。
そう、最近別れたばかりなんだ。
友達の紹介で知り合って何度か会った後にあちらから告白され交際を始めた。
決まり文句のように“Aは本当に裏表が無くて良い子”って言ってた。
嬉しかったら素直に喜んで、嫌なことはハッキリとそう言う。そんな所が好きだと。
別れた時に言われた言葉を思い出してふっと小さく笑うとミンソクさんは不思議そうに首を傾げてどうしました？と聞いてきた。
｢いえ、ちょっと思い出し笑いが…｣
｢そう言われると気になりますよね｣
｢くだらないですよ？｣
｢余計に気になりますけど｣
｢別れ話の切り出し方が、おかしくって｣
あの時、心の中で散々野次った。
そんな私を好きだと言ったのは貴方だよって。
｢素直な私が良いって言ってたのに、正直過ぎてしんどいって言われました｣
｢正直過ぎて…？｣
そこで駅に着いて一旦会話が途切れた。
電車から降りて私に家の方向を聞くと自分と一緒だったらしく再び並んで歩いた。
｢で、どういう意味ですか？｣
｢私思った事はなんでも言う人なんですよ。彼は自分の悪い所を言われるのが嫌だったみたいです｣
どれも正当な事を指摘してただけなんだけど。
言う度に私への態度がどんどん変わっていった。
｢ふうん…まぁ男って自分の弱いところ見せるの嫌だし、プライド高い人だったら余計そう思うかもですね｣
プライドが凄い高い人だった。
きっと高くて脆いプライドに傷をつけたんだろうな、私が。
そんな事が平気で出来るような人間に、なってしまったから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
K(プロフ) - さえさん» そう言っていただけるととても嬉しいです(;_;)コメントもたくさんくださって本当に力になっています！ありがとうございます！！ (2018年3月15日 18時) (
レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - グロリオサさん» 他の作品も読んで下さっているんですね、ありがとうございます…！ありがたいうえに私には勿体無い言葉ですがとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします(^^) (2018年3月15日 18時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - 暗いとか思ったことないです！切なさもあり心温まるストーリーを書かれるkさんの言葉の紡ぎ方がとても大好きです！更新楽しみにしてます(^ ^) (2018年3月14日 0時) (レス) id: 74d5d29218 (このIDを非表示/違反報告)
グロリオサ(プロフ) - Kさんが書くお話はどれも切なくてハラハラしながら時間を忘れて読んでしまいます。いつも素敵なお話をありがとうございます。 (2018年3月13日 17時) (レス) id: e0624b2322 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ケイカさん» コメントありがとうございます！私にはもったいないお言葉…(;_;)もう少しお話は続きますのでこれからもよろしくお願いします！ (2018年3月13日 7時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：K
| 作成日時：2018年1月31日 22時
