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また少しの沈黙のあと、ゆっくりと話し始めたベクの声はなんだか柔らかかった。
溌剌と話す時とは少し違った雰囲気。
｢人を好きになるとその人のことばっかり考えちゃうんですよ｣
確かにチャニョルのことはたくさん考えるかもしれない。
チャニョルだけじゃなくて、この部活のメンバーのことは家にいても良く思い出しては楽しくなる。
｢傍にいるだけで幸せな気持ちになる｣
皆大好きだから、それは感じる。
部活をしている時は本当に幸せ。
｢この人の笑顔を見ていたいって思う｣
あの明るい笑顔が大好きだから、ずっと笑ってて欲しいなって思ってる。
皆部活にいるときは笑いが絶えないから、いつも楽しいんだ。
｢その人の事を考えると胸が苦しくなる｣
｢胸が…｣
それには肯定する言葉が見つけられなかった。
私はチャニョルの事を考えて苦しくなったことはない。
いつも楽しくて、わくわくしてたから。
｢俺は、いつも苦しいです｣
｢え？あ…ベク好きな人がいるの？｣
そう思った時、胸の奥が少しズキンとした。
今のはなんだろう。
｢いますよ。笑ってる顔を見ても苦しくなる。俺のこと見てくれれば良いのにっていつも思ってます｣
ベクには何故か、勝手にそういう相手がいないと思っていた。
誰にでも平等に接しているから、誰かを特別に思っているということも無いのかと。
｢えっと…その人と…上手く行けばいいね｣
びっくりするくらい上手く出て来なかった言葉。
どうして？
本当にそう思ってるはずなんだから、もっと明るく笑って言えるはずなのに。
｢あはは、上手くねえ｣
ベクは笑ってるけど私は笑えない。
なんだかズキズキして、上手く息も吸えない。
｢きっと一生実らない｣
｢え？どうして…？｣
｢チャニョル相手じゃあ無理でしょ｣
え？
それは、チャニョルと同じ相手を好きだということ？
それともその人がチャニョルを好きだということ？
でもそんなこと…そんなふうに言うことない。
ベクはとっても素敵な人だから。
｢あの、ベクは凄く…良い人だよ｣
素敵な人と口に出すのが気恥ずかしくてそう言った。
やっぱり私は自分の気持ちを言葉にするのが苦手だ。
｢先輩〜良い人ってのは恋愛対象外なんですよ｣
｢えぇ！？そんな、そんなつもりで言ったんじゃ…！｣
慌てて訂正しようとした時に見えたベクの顔を見て、胸が締め付けられた。
どうしてそんな…悲しい顔をして笑うの？
*
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K(プロフ) - さえさん» そう言っていただけるととても嬉しいです(;_;)コメントもたくさんくださって本当に力になっています！ありがとうございます！！ (2018年3月15日 18時) (
レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - グロリオサさん» 他の作品も読んで下さっているんですね、ありがとうございます…！ありがたいうえに私には勿体無い言葉ですがとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします(^^) (2018年3月15日 18時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - 暗いとか思ったことないです！切なさもあり心温まるストーリーを書かれるkさんの言葉の紡ぎ方がとても大好きです！更新楽しみにしてます(^ ^) (2018年3月14日 0時) (レス) id: 74d5d29218 (このIDを非表示/違反報告)
グロリオサ(プロフ) - Kさんが書くお話はどれも切なくてハラハラしながら時間を忘れて読んでしまいます。いつも素敵なお話をありがとうございます。 (2018年3月13日 17時) (レス) id: e0624b2322 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ケイカさん» コメントありがとうございます！私にはもったいないお言葉…(;_;)もう少しお話は続きますのでこれからもよろしくお願いします！ (2018年3月13日 7時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K
| 作成日時：2018年1月31日 22時
