親睦会 ページ39
土曜の朝。
体調はほぼ完治してたまに軽い咳が出るくらいになった。
夜はミンソクさんの奢りで3人で飲みに行くことになっている。
いったいどういう雰囲気になるのか想像が出来なくて妙に緊張した。
仕事も無事終えて、夜の6時に駅で待ち合わせをしたのでそれまで家でぼうっとした。
何を話すべきなのか、しっかり考えておこう。
感情に任せてはいけないことは分かってるから、しっかりしないと。
ベクと2人きりじゃきっと駄目な方向にしか行かなかった。
でもだからといって、ミンソクさんがいたらどうにかなるのかと言われれば良くわからない。
気持ちの整理がつかないまま、家を出た。
気温はだいぶ暖かくて薄い上着を着ていれば肌寒いと感じることも無い。
薄暗い道を歩いていると前方にミンソクさんの後ろ姿を見つけた。
声を掛けるか迷ったけどこの距離じゃどうせ同じ電車に乗ることになると思い、走ってミンソクさんを追う。
どうせなら驚かせてしまえ。
あと少しというところで勢いよく振り向かれてこっちが驚いて急ブレーキをかけてしまった。
｢ちょ、びっくりした…！｣
｢あはは、足音凄かった｣
あ、ヒール履いてるから音が響いてたんだ。
驚かすつもりだったのに恥ずかしい…
｢えっと…ミンソクさんは家に帰ってから何してましたか？｣
｢んー、掃除？｣
｢ミンソクさんてもしや潔癖？｣
｢どちらかといえばそうかもですね｣
いや、完全にそうでしょう。
ミンソクさんが来てから日に日に店舗が綺麗になってるの気付いてますからね。
｢Aさんは何してたんですか？｣
｢…何も。何もせずにぼーっとしてました｣
するべきことくらいあったはずなのに、何1つ解決しなかった。
どこまでも駄目なやつ。
｢ミンソクさん、私今日きっと見苦しい姿を見せてしまうかもしれません｣
そう言いながら横を見るとミンソクさんも私を見た。
きっと今日は、今までミンソクさんが見てきた私とは違う私を見せてしまう。
あの頃に戻ってしまうに決まってる。
だから、初めから予防線を張るんだ。
｢見苦しい？｣
｢昔の私はほんと目を覆いたくなるくらい情けないやつだったんで｣
今の私が特別出来るやつと言いたいわけじゃない。
ただ、あの頃の私は本当に見てられない。
｢今見てるAさんとその見苦しいっていうAさんは、どっちが本物なんですか？｣
｢さあ、どっちでしょー！｣
そう言って笑い飛ばした。
今はまだ、これで良い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
K(プロフ) - さえさん» そう言っていただけるととても嬉しいです(;_;)コメントもたくさんくださって本当に力になっています！ありがとうございます！！ (2018年3月15日 18時) (
レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - グロリオサさん» 他の作品も読んで下さっているんですね、ありがとうございます…！ありがたいうえに私には勿体無い言葉ですがとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします(^^) (2018年3月15日 18時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - 暗いとか思ったことないです！切なさもあり心温まるストーリーを書かれるkさんの言葉の紡ぎ方がとても大好きです！更新楽しみにしてます(^ ^) (2018年3月14日 0時) (レス) id: 74d5d29218 (このIDを非表示/違反報告)
グロリオサ(プロフ) - Kさんが書くお話はどれも切なくてハラハラしながら時間を忘れて読んでしまいます。いつも素敵なお話をありがとうございます。 (2018年3月13日 17時) (レス) id: e0624b2322 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ケイカさん» コメントありがとうございます！私にはもったいないお言葉…(;_;)もう少しお話は続きますのでこれからもよろしくお願いします！ (2018年3月13日 7時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：K
| 作成日時：2018年1月31日 22時
