事件 ページ25
家の前まで来たのでここで大丈夫だと言ったけれど案の定大丈夫じゃないくせにと言われ結局はドアの前までミンソクさんが付き添ってくれて、申し訳ないけれど安心した。
弱っている時には誰かがいるだけでこんなに心強いんだな。
｢ありがとうございますこんな所まで｣
｢こういう時くらい誰かに甘えましょうよ｣
少年のよう笑みを向けられてなんだか照れくさくてマスクの下で口元を緩ませながら鍵を開けようと鞄の中から鍵を出す。…はずだったのに。
｢あれ…？｣
｢…？どうかしました？｣
｢鍵が見当たらなくて｣
どうしてだろう、朝はしっかり締めてきたしその後には1度も使ってないから職場に置いてきているはずもない。
じゃあ鍵はどこに？
どこかで落とした？どこで？
｢とりあえず鍵が届いていないか駅に電話してみるんで待っててください｣
ミンソクさんは落ち着いた様子で私を宥め、スマホを取り出し電話をし始めた。
隣で電話をする声を聞いていたけれどどうやら駅には無かった様子で電話を切った。
｢管理会社に連絡取れます？合鍵あるかもですし…｣
そう言われて管理会社に電話してみたものの、管理会社に合鍵は無いようで今すぐに家に入るのはどう考えても難しい状況に立たされてしまった。
こんなに体調が悪いのに鍵が無くて家に入れないなんてどんな地獄だ。
運はどこまでもついてきてくれないらしい。
とりあえず紛失届けを出して鍵は明日にでもなんとかするとしても今をどうにかしないといけない。
｢私弟に連絡取るんで帰って大丈夫ですよ、私は休みだけどミンソクさんは明日も仕事だし…｣
｢連絡取れるまで待ってます｣
ドアに背を預けポケットに手を入れるとそこに落ち着いてしまった。
もう、やめて欲しい。
そんなふうに優しくされてうっかり好きになってしまったらどうしてくれるんだ。
ミンソクさんに背を向けて弟に電話を鳴らしてみたけれど出ないのでメッセージを送ってみると返事が来た。
“今地元にいないからうちには泊めれない、ごめん！”
彼女といるのかもと思い、体調が悪いと言うと駆けつけて来そうなのでそれは伝えずに分かったと短く返した。
私の友達もこの辺に住んでいる人はいない。
ホテルでも取るべきだろうか。
動揺している私に突如降り掛かってきた言葉をすぐには理解することが出来なくて聞き返した。
そして、聞き返しても同じ言葉が返ってくる。
｢だから、俺のとこ、来ますか？｣
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K(プロフ) - さえさん» そう言っていただけるととても嬉しいです(;_;)コメントもたくさんくださって本当に力になっています！ありがとうございます！！ (2018年3月15日 18時) (
レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - グロリオサさん» 他の作品も読んで下さっているんですね、ありがとうございます…！ありがたいうえに私には勿体無い言葉ですがとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします(^^) (2018年3月15日 18時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - 暗いとか思ったことないです！切なさもあり心温まるストーリーを書かれるkさんの言葉の紡ぎ方がとても大好きです！更新楽しみにしてます(^ ^) (2018年3月14日 0時) (レス) id: 74d5d29218 (このIDを非表示/違反報告)
グロリオサ(プロフ) - Kさんが書くお話はどれも切なくてハラハラしながら時間を忘れて読んでしまいます。いつも素敵なお話をありがとうございます。 (2018年3月13日 17時) (レス) id: e0624b2322 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ケイカさん» コメントありがとうございます！私にはもったいないお言葉…(;_;)もう少しお話は続きますのでこれからもよろしくお願いします！ (2018年3月13日 7時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K
| 作成日時：2018年1月31日 22時
