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全ての業務が終わり帰る準備を終えて更衣室から出ると慌ただしく出ていこうとするベクが目に入った。
今日はベクが研修らしい。
薬剤師は頻繁に研修やら何やらあって忙しそうだ。
｢先輩、絶対絶対病院行ってくださいね！｣
｢うん、行くよありがとう｣
手を振ってベクを見送り自分も帰るために靴を履き替えていると後ろからミンソクさんがやってきた。
｢お疲れ様です、帰りましょうか〜｣
｢お疲れ様です…ほんとに声ひどいですね？｣
ミンソクさんにまで言われてしまった。
よっぽどひどい声をしているらしい。
｢大丈夫ですよ、明日休みなんで｣
でも早めに帰らないとそろそろボロが出そう。
気付かないふりをしていたけど凄く寒いのに体が熱い気がする。
並んで歩いている最中もいつも通り振る舞うのに精一杯で会話が頭になかなか入ってきてくれなくて焦りを感じた。
職場の人達には迷惑をかけたくないという気持ちが凄く強いのだけどその気持ちはミンソクさんにはより一層感じている。
その理由はいまいちよく分からないけどミンソクさんは凄く完璧だからそうじゃない所を見せるのがたぶん嫌なんだと思う。
電車に乗るとひとつ席が空いていたけれどいつもなら2つ空いていないと座らないので立っているとミンソクさんが座るように促してきた。
｢早く座って、ほんとに｣
｢や、でも｣
｢いいから｣
少し強めに言われて、下唇を噛んで渋々腰掛けた。
｢隠したいのかもしれないけど全然隠しきれてないですから…体調悪い時は無理しないでください｣
…ああ、かっこ悪い。
強がっているのはバレバレだったってこと？
情けなくて俯いて電車の揺れに身を任せた。
電車から降りると気遣うようにいつもよりゆっくりと歩いてくれて、心なしか距離も少し近い気がする。
｢昨日までは咳はしてたけど元気だったじゃないですか。今日からですか？｣
｢はい…｣
｢どうして誰にも言わないんですか？｣
｢あと少しで終わるから耐えられると思って…｣
隣から大きな溜息が聞こえてきた。
初めて見る怒ったような姿に戸惑いが隠せなかった。
｢今度からは無理しないですぐに言ってください。皆心配してるんですから｣
｢…はい｣
ずっと怒ってたのに急に優しい口調でそんなことを言われて鼻の奥がつーんとした。
私の周りには優しい人が多すぎる。
私には勿体無い。
私には釣り合わない。
そんな人達ばかりなんだ。
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K(プロフ) - さえさん» そう言っていただけるととても嬉しいです(;_;)コメントもたくさんくださって本当に力になっています！ありがとうございます！！ (2018年3月15日 18時) (
レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - グロリオサさん» 他の作品も読んで下さっているんですね、ありがとうございます…！ありがたいうえに私には勿体無い言葉ですがとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします(^^) (2018年3月15日 18時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - 暗いとか思ったことないです！切なさもあり心温まるストーリーを書かれるkさんの言葉の紡ぎ方がとても大好きです！更新楽しみにしてます(^ ^) (2018年3月14日 0時) (レス) id: 74d5d29218 (このIDを非表示/違反報告)
グロリオサ(プロフ) - Kさんが書くお話はどれも切なくてハラハラしながら時間を忘れて読んでしまいます。いつも素敵なお話をありがとうございます。 (2018年3月13日 17時) (レス) id: e0624b2322 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ケイカさん» コメントありがとうございます！私にはもったいないお言葉…(;_;)もう少しお話は続きますのでこれからもよろしくお願いします！ (2018年3月13日 7時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K
| 作成日時：2018年1月31日 22時
