春、出会いと ページ2
4月初め。
いつもより少し早く家を出て頬を軽く叩いて気合を入れた。
今日から新人、とは言えないから。
事務として働き始めて2年目になる。
前職はアパレル関係の仕事をしていたけれど3年も経ってから向いていないと気付き独学で勉強をして薬局の事務へと転職したのだ。
知識よりも面接で合格したのだろうという自負はある。
笑顔が良いと褒められる事が多いし人と話すのも昔とは比べ物にならないくらい得意になった。
まだ少し冷たい風を正面から受けながらこれからどんな人たちと働くことになるのだろう、と思考を巡らせた。
新しく4年目の薬剤師が他の店舗からやってくるからだ。
4月という節目には異動が多いらしい。
そして今日から1年目の薬剤師も配属になるらしいからなんだかワクワクした。
1年目ってことは今年25なはず。
私の1つ下だろうか。
ドキドキしながら店舗のドアを開けて中を覗くと、見える範囲には誰もいない。
鍵は開いていたから誰かは来ているはずなんだけど…
靴を履き替えながら薬局長かな？と思っていると奥の方から物音が聞こえたので顔を上げた。
それからひょこりと現れた人は、猫目で少し可愛らしい雰囲気の男性。
この人が今日からここに来た4年目の…？
｢おはようございます、すみません今トイレの電球替えようと思ってたんですけど、電球って…｣
｢あ！手伝いますね！｣
慌てて店舗の中へと入り替えの電球を持ってトイレに向かうと椅子に立ち上がって電球を外しているところだった。
｢すみません、今日来たばかりなのに…｣
｢いえ、気にしないでください｣
ちゃんと挨拶をするために電球をつけ終わるのを待った。
作業を終え椅子から降りると何故か私と向き合ってじっと見てきたのでドキマギした。
｢自己紹介してなかったですね。キムミンソクです、よろしくお願いします｣
｢あっはい！キムAです、よろしくお願いします！｣
ミンソクさんは爽やかな笑顔を私に向けると頭を下げた。
なんだか、良い意味で人との距離を取るのが上手そうだ。
｢薬局長今電話中なんで更衣室教えて貰っても良いですか？｣
｢あ、はい！こっちです｣
案内しながら着いてくるキムミンソクさんのことを考えた。
礼儀正しいしなんだかこっちまでかしこまっちゃうな。
いい事なんだろうけれど、私の性格と合うのか少し不安になった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
K(プロフ) - さえさん» そう言っていただけるととても嬉しいです(;_;)コメントもたくさんくださって本当に力になっています！ありがとうございます！！ (2018年3月15日 18時) (
レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - グロリオサさん» 他の作品も読んで下さっているんですね、ありがとうございます…！ありがたいうえに私には勿体無い言葉ですがとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします(^^) (2018年3月15日 18時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - 暗いとか思ったことないです！切なさもあり心温まるストーリーを書かれるkさんの言葉の紡ぎ方がとても大好きです！更新楽しみにしてます(^ ^) (2018年3月14日 0時) (レス) id: 74d5d29218 (このIDを非表示/違反報告)
グロリオサ(プロフ) - Kさんが書くお話はどれも切なくてハラハラしながら時間を忘れて読んでしまいます。いつも素敵なお話をありがとうございます。 (2018年3月13日 17時) (レス) id: e0624b2322 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ケイカさん» コメントありがとうございます！私にはもったいないお言葉…(;_;)もう少しお話は続きますのでこれからもよろしくお願いします！ (2018年3月13日 7時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：K
| 作成日時：2018年1月31日 22時
