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｢遂にこれで終わりですね｣
提出した原稿を確認しながらチャンさんが目だけこちらに向けて薄く微笑んだ。
そして妙に私の部屋に馴染んでいる。
数えるのも忘れるくらい来ているのだから当たり前かもしれないけれど。
｢そうですね。凄くあっという間だった気がします｣
本当にあっという間だった。
出会いから強烈な印象を残したチャンさんは何度も私を驚かせてきたし、会う度に見たことも無い景色を見せてくれた。
そして、この原稿が通ったら私たちがもう恋人のフリをする必要は無くなる。
この作品のためにしてきたことなのだから当たり前だ。
チャンさんが目を通してからすぐに指摘があることもあるし、チャンさんが良いと思っても他から指摘があることもある。
今回はどうだろう。
このまま何事も無く終わるのか、それとも…
｢パクさん、ちょっと｣
胸が少し跳ねた。
画面を見ながら手招きされたので近寄って画面を覗き込んだ時、腕を引かれて体勢が崩れて座っていたチャンさんへと倒れ込んだ。
｢ちょっ…何を｣
驚いてチャンさんを見た時、言葉が途切れた。
何も言えなくなった。
その表情は、どういう意味？
｢本当に、完璧なんですね｣
｢どういう…ことですか？｣
なんとか振り絞って出した声は消えてしまいそうなくらい弱々しかった。
こんな事するのはチャンさんではなくて物語の中の“彼”なのに、口調はチャンさんのまま。
だから頭の中が凄く混乱していた。
自分は今どちらであるべきなのかが分からない。
｢悔しいくらい、完璧でした。…お疲れ様です、パクさん｣
そう言うと一瞬だけキスをして、頭を優しく撫でるとすぐに私の腕を離して立ち上がった。
不意に離れていった温もりを追いかけそうになり、この前と同じようにクッションを握りしめチャンさんを目で追った。
｢最後の文。そこだけ、ピリオドが無いです。それだけです、本当に｣
｢……わかりました｣
チャンさんは既に帰る支度を始めている。
私はそれをクッションを握りしめたまま眺めているだけ。
｢何も無いとは思いますけど何か訂正が入ったら連絡しますね｣
｢よろしくお願いします｣
｢では、失礼します｣
会釈をして軽く頭を下げるとチャンさんはパタンと軽い音を立ててドアを閉めて去っていった。
担当が変わるわけじゃない。
この話が終わるだけ。
それなのにどうして私は、今
こんなにも空っぽなのだろう。
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K(プロフ) - さえさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けたようで嬉しいです(T_T)私もさえさんが大好きですー！笑ありがとうございます、またどこかでお会い出来ると嬉しいです(^o^) (2017年10月18日 21時) (
レス) id: 2082ebeeaa (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - リコさん» コメントありがとうございます！お気に入りだなんて嬉しすぎます(T_T)こちらこそ最後まで読んでくださってありがとうございました！！ (2017年10月18日 21時) (レス) id: 2082ebeeaa (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - satoetu61さん» 初めまして！ドキドキしながら読んでくださっと聞いてとても嬉しいですー！いつかまたイーシンさんのお話もかければ良いなとは思っているので気長にお待ちください(^o^) (2017年10月18日 21時) (レス) id: 2082ebeeaa (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - だいすきでしたー！キュンキュンしっぱなしでした！更新お疲れ様でした。 (2017年10月17日 3時) (レス) id: cd64ed3849 (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - ずっと読ませていただいてました！私のちょ〜お気に入り作品です★ありがとうございました！！ (2017年10月16日 22時) (レス) id: ad5f71dec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K
| 作成日時：2017年6月13日 23時
