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｢私はずっとあの人を愛してたのに、あの人は私のことを1度も愛してはくれなかった…ただの暇潰しだったんですよ｣
そう言って髪で顔を隠すように俯いた。
涙は出せないけれど他は話の通り。
この後からが問題だったんだ。
皆が口を揃えてリアリティが無い、物足りないと感じた所。
そして今は新たな問題に直面している。
ビジネスとはいえ、このまま続けていいのだろうか。
担当者にそこまでしてもらう必要など無いのではないか。
いくら作品のためとはいえこれはやはりやり過ぎているのではないか。
チャンさんならどこまでも本気で作品のためになんでもしてしまいそうな節は出会ってから1ヶ月経っていなくたって感じ取れる。
やめるなら、今だ。
そう思い顔を上げようとした瞬間に膝の上で拳を作っていた手の甲にするりと指先が伸びてきた。
チャンさんの手が私の手を包み込み、親指で優しく撫でる。
ぐっと息が詰まったように声が出てこなかった。
やめるなら、今なのに。
｢貴方を愛してくれる人は、必ずいますよ｣
さっきよりずっと耳元で聞こえる声に背筋がぞくりとした。
痺れたように身動きが取れなくなって、声をなんとか絞り出すので精一杯だった。
｢チャンさん、やっぱり｣
｢僕が貴方を愛してあげる｣
顔を上げた時に正面から目が合い、私の声を飲み込むように放たれたその言葉に固まってしまった。
私に言ったんじゃないのに。
｢私｣に言ったその言葉がやけに耳に響いてそれが私の全てを支配してしまったかのように私の意思はもう思い通りにならなかった。
チャンさんは握った手をそのままぐっと引いて立たせると｢私｣を支えるように肩を抱きながら出口へと向かっていた。
店員さんに何か言っていたけれどそれは私の耳に入ってこない。
これから先どうなってしまうのか、ただそれだけを考えていた。
今ならまだ、間に合う。
それなのに私の口は開かない。
足も止まらない。
｢私｣の肩を抱く手を振りほどくこともしない。
｢私｣に囁かれた言葉を、私が本気にしてしまいそうになるくらいチャンさんの演技が上手なのが悪いんだ。
どんなに仕事だけに集中してきた私も、｢愛｣というものに飢えていたんだと、気付かされてしまった。
表情を変えない鉄仮面と言われていても。
仕事以外の事に関心が無いと言われていても。
昔は人並みに恋をして、人の温もりに触れて安心していた。
それが演技をするチャンさんの声で、
蘇ってしまった。
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K(プロフ) - さえさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けたようで嬉しいです(T_T)私もさえさんが大好きですー！笑ありがとうございます、またどこかでお会い出来ると嬉しいです(^o^) (2017年10月18日 21時) (
レス) id: 2082ebeeaa (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - リコさん» コメントありがとうございます！お気に入りだなんて嬉しすぎます(T_T)こちらこそ最後まで読んでくださってありがとうございました！！ (2017年10月18日 21時) (レス) id: 2082ebeeaa (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - satoetu61さん» 初めまして！ドキドキしながら読んでくださっと聞いてとても嬉しいですー！いつかまたイーシンさんのお話もかければ良いなとは思っているので気長にお待ちください(^o^) (2017年10月18日 21時) (レス) id: 2082ebeeaa (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - だいすきでしたー！キュンキュンしっぱなしでした！更新お疲れ様でした。 (2017年10月17日 3時) (レス) id: cd64ed3849 (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - ずっと読ませていただいてました！私のちょ〜お気に入り作品です★ありがとうございました！！ (2017年10月16日 22時) (レス) id: ad5f71dec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K
| 作成日時：2017年6月13日 23時
