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チャンさんが連れてきてくれたバーはオレンジ色の照明が店内を照らし、少し薄暗いけれど嫌な感じはしなかった。
店内も今は落ち着いているのか、それとも普段からそうなのかは分からないけれどお客さんもまばらで人目を気にする心配もあまり無さそうだ。
一応店員さんの目は気になるので話とは少し違ってしまうけれどカウンターでは無く少し離れたテーブル席を選んだ。
｢じゃ、始めますか｣
｢お願いします｣
チャンさんは笑窪を見せて微笑むと、直後に少し表情が変わった。
｢これ、貴方のですか？｣
そう言って床から拾い上げたハンカチを私へ差し出した。
これはチャンさんのハンカチだろうけれど、いつ落としておいたのだろうか。
そんなことを気にするより、今は話をどうにか良い方向へ持っていけれるようにしなければ。
そう思い気持ちを切り替え、自分も物語へ入り込むことにした。
｢やだ、いつの間に…ありがとうございます｣
｢どういたしまして。それより体調があまり良くないように見えますけど、大丈夫ですか？おひとりですか？｣
入り込もうと思ったけれど、内心チャンさんに舌を巻いた。
私が書いた通りだ、全て。
セリフはもちろん表情や動作までもが。
肩に触れる遠慮がちな指先の温もりがやけに気になってしまう。
そう書いたのだからそうするのは当たり前なのだけど、なんだかもどかしく感じる。
｢えっと…さっきまでは連れがいたんですけど…｣
｢帰っちゃったんですか？｣
キョトンとした顔で私を見るそれは物語の中の彼ではなく、チャンさんらしいように見えた。
｢…捨てられたというのが正しいかもですね｣
物語の中の｢私｣は年上の彼に家庭があることを知らずに付き合い、｢私｣が結婚を意識し始めた時に妻と子がいる事を打ち明けられると同時にこれ以上一緒にいられないと告げられ、縋ることも出来ずに彼を見送った所に現れた新しい彼に出会う。
この後彼の人柄の良さと優しさに甘えて全てを打ち明ける。
お酒も入り感情的になって泣いてしまった時にそっと手を握られてその暖かさに逃げてしまい出会ったその日に名前も知らない彼とそのままホテルに行ってしまう。
自分の書いたストーリーの通り演技を続け、その流れがそろそろやって来るのだけどこの人はどこまでやる気なのだろうか。
チャンさんなら手を握る所まではさらりとやってのけるだろう。
果たして、その先は…？
柄にもなく少し焦りを感じ始めていた。
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K(プロフ) - さえさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けたようで嬉しいです(T_T)私もさえさんが大好きですー！笑ありがとうございます、またどこかでお会い出来ると嬉しいです(^o^) (2017年10月18日 21時) (
レス) id: 2082ebeeaa (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - リコさん» コメントありがとうございます！お気に入りだなんて嬉しすぎます(T_T)こちらこそ最後まで読んでくださってありがとうございました！！ (2017年10月18日 21時) (レス) id: 2082ebeeaa (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - satoetu61さん» 初めまして！ドキドキしながら読んでくださっと聞いてとても嬉しいですー！いつかまたイーシンさんのお話もかければ良いなとは思っているので気長にお待ちください(^o^) (2017年10月18日 21時) (レス) id: 2082ebeeaa (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - だいすきでしたー！キュンキュンしっぱなしでした！更新お疲れ様でした。 (2017年10月17日 3時) (レス) id: cd64ed3849 (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - ずっと読ませていただいてました！私のちょ〜お気に入り作品です★ありがとうございました！！ (2017年10月16日 22時) (レス) id: ad5f71dec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K
| 作成日時：2017年6月13日 23時
