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夜にこの道を歩くのは初めてだった
お店を出て駅へ向かおうとしたのだけど思ってた以上に道が暗い
電気が切れたのかそこにあるだけの街灯
ただでさえ細くて薄暗い道なのにこんな暗いと……
こんな道1人で歩けなくてどうすんのよ
大人だよ私は
もう社会人なの
これくらいどうってことない
心の中で何度もそう言い聞かせながらスマホをぎゅっと握りしめて歩く
────“ 怖いよ、ねえ、ここから出してよ!!”
泣きながら叫んでも返ってくるのは楽しそうに笑う声
電球が切れた部屋に閉じ込められてお腹がすいても出してもらえなくて
手が腫れるまでドアを叩き続けて ────
駄目だ、駄目だ、こんなこと思い出しちゃいけない
楽しいこと…楽しいことを思い出すんだ
そう思うと何故か頭に浮かぶのはベッキョンくんの顔で
なんでなんだろう
ベッキョンくんと過ごした時間よりも友だちと過ごした時間の方が長いはずなのに…
突然、暗くて細い道に笑い声が響いて足がすくんだ
頭ではお父さんじゃないとわかってる
近くにある家の窓が開いてただけだろう
わかってる、わかってるのに
なんでなの?
どうして足が動かないの?
どうして震えるの?
どうして涙が出てくるの?
いつまで、このままなの……?
目をぎゅっとつむって、耳を塞いでも
頭に笑い声が響いてやまない
わたしをバカにして、嘲笑う声が聞こえる気がする
こんな姿見たらベッキョンくんも、呆れるのかな
自然と涙が零れるのを拭うことすら出来なくて
急に引かれた腕に驚いて一瞬にして現実に引き戻された
引き戻してくれた
ここはあの暗い物置じゃない
閉じ込められた部屋でもない
振り返ってみたけど暗くて顔が見えない
変な人に絡まれた……?
慌てて立ち上がると良く見えなかった顔が見えて、口が開いた
なんで?
何でここにいるの…?
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K(プロフ) - ゆなさん» ありがとうございます!他の作品もどうぞよろしくお願いします(^o^) (2017年2月20日 18時) (レス) id: 2082ebeeaa (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - すっごいよかったです!! (2017年2月19日 12時) (レス) id: 16c6a36ad1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - たまさん» ありがとうございます、嬉しいです(;;)頑張って更新してくのでよろしくおねがいします! (2016年5月3日 9時) (レス) id: c9ee003b2a (このIDを非表示/違反報告)
たま - 今までみた作品の中で一番楽しく読めた気がします!べっちゃん最高です~~頑張ってください!! (2016年5月3日 1時) (レス) id: df63ab58aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:K | 作成日時:2016年3月26日 12時